光る小技、1点への執念 飛躍誓う立命館大軟式野球部が全日本選手権に出場
野球といえば本塁打などに代表される派手なプレーで知られる硬式が一般的。しかし、安打ゼロでも戦略次第で点をもぎ取ることができる軟式野球にも奥深い魅力がある。そんな大学軟式野球の頂点を決める全日本大学軟式野球選手権大会が12日、大阪府内で開幕する。悲願の初優勝を目指すのが、関西六大学軟式野球連盟の代表として出場する立命館大だ。今夏にあった別の全国大会を制し、勢いのまま二冠を目指す。研ぎ澄ました「小技」に注目したい。 【写真】リーグ戦で新人王に輝いた高田清正投手 9日、京都市右京区のグラウンドでナインは打撃や守備などの基本的な練習に汗を流していた。硬式に比べ打球が飛びにくい軟式では小技がカギを握る。好機を作ってもエンドランやバントを敢行。跳ねやすい軟式球の特徴を生かし、打球を高く弾ませる「叩(たた)き」と呼ばれる戦法も見物だ。この日は本番を想定した小技の練習も入念に繰り返していた。 部員は約40人。大阪、京都、滋賀の3キャンパスに部員が分散し、平日に全員が顔を合わせることは難しい。全体練習は土日に限られるが、それでも勝利を目指し、しのぎを削ってきた。 そうした努力が実り、数年前から部は強豪へと台頭。8月にあった全日本大学軟式野球選抜大会で優勝し、ついに初めて全国規模の大会を制した。 強みの一つは豊富な投手陣だ。リーグで新人王を受賞した2年の高田清正投手に加え、先発とリリーフをこなす2年の田口星馬投手も存在感を放つ。攻撃面では、1年の井上滉一朗選手や3年で四番の植木涼太選手を筆頭に強力打線を形成する。 実は全国の大学軟式野球の大半は学生主体で運営されている。監督、コーチを務めるのも学生だ。3年で学生監督を務める多治見蒼さんも、学生主体の運営に魅力を感じて門をたたいた一人。「軟式は作戦次第で点が取れる。小技があるだけでチームの大事な戦力になる」と語る。 主将で3年の安井響輝(なるき)選手は「夏の優勝がまぐれではないと証明するために絶対優勝したい」と意気込んだ。(渡辺大樹)