10月振込の厚生年金と国民年金「いつもと金額が違った!」年金振込通知書で確認したいポイント
10月15日は年金支給日でしたが、10月分から年金の振込額が変わるケースがあります。 ◆【見本つき】10月に年金振込通知書が届いたらどこをチェックする?手取り額が変わることも 年金の振込額は6月に郵送済みの年金振込通知書で確認していると思いますが、10月分の振込額が変わる場合は再度郵送されます。 今回は、本来は年1回しか届かない年金振込通知書が10月にもう一度届く理由に加え、10月から年金の振込額が変わる主な要因について解説します。 年金振込通知書が届いたら、6月分と10月分の振込額を比較してみましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
10月に年金振込通知書が届くのはなぜ?
10月に年金振込通知書が届くのは、厚生年金と国民年金の振込額が変わるためです。 通常は毎年6月に郵送されますが、介護保険料等の特別徴収額が変わった場合などに再度郵送されるようになっています。 6月に届いた通知書と比較し、どの部分が変更になったのか確認してみましょう。 では、10月から厚生年金と国民年金の振込額が変わるのはどのようなケースなのでしょうか。
10月以降から厚生年金と国民年金の振込額が変わる主な要因
厚生年金と国民年金の振込額が変わる主な要因は、所得や控除額の変化です。それ以外にも振込額が変わる要因がいくつかあるので、詳しく見ていきましょう。 ●所得や控除額に変化があった まず、年金から天引きされる税金や保険料は以下の5つとなります。 ・所得税・復興特別所得税 ・住民税と森林環境税 ・介護保険料 ・国民健康保険料 ・後期高齢者医療保険料 これらの税金や保険料は所得に応じて徴収額が増減するので、所得に変化があれば手取り額も増減します。 それぞれ年金振込通知書に明記されているので、どのくらい天引きされているのか確認してみましょう。 また、医療費控除が減った場合や扶養している人数が減った場合など、控除額が減ることによって手取り額が減少することもあります。 なお、年金天引きについては、仮徴収(4月・6月・8月の天引き分)と本徴収(10月・12月・翌年2月の天引き分)に分かれており、前年分の所得等が反映されるのは原則10月の本徴収分からです。 自治体によってスケジュールが異なる場合もありますが、前年分の所得等に変化があった場合は10月の本徴収分から振込額が変わるのが一般的です。 ●個人住民税の定額減税 年金から個人住民税が特別徴収されている方を対象に、10月に受け取る年金から減税が行われます。 所得税の減税については6月から行われていましたが、住民税については10月分から順次減税されます。 定額減税額については年金振込通知書の右下部分に記載されているので、届いたら確認してみましょう。 ●在職老齢年金制度の支給停止および在職時改定 在職老齢年金制度とは、働きながら老齢厚生年金を受給している方を対象に、全部または一部の年金支給を停止する仕組みのことです。 2024年度においては、賃金と年金額の合計額が50万円を超える場合、50万円を超えた金額の半分が年金額より支給停止されます(老齢基礎年金は全額支給)。 また、2022年4月から「在職定時改定」という制度が新設されており、こちらも年金の手取り額が増減する要因となります。 在職定時改定は、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに納めた保険料を年金額に反映するという制度です。 この制度により、厚生年金被保険者の資格喪失(退職等)を待たずに、年金額が増加することになります。 なお、10月から年金額が改定する場合、振込額に反映されるのは12月の支給分からとなります。 ●社会保険への加入 例えば、扶養の範囲内でパートやアルバイトとして働いている方が新たに社会保険へ加入することになった場合、年金の受給額に影響が出る可能性があります。 というのも、社会保険に加入することによって在職老齢年金の対象になるため、前述の通り全部または一部の年金支給が停止するケースがあるからです。 なお、10月から社会保険の適用範囲が拡大するため、以下の要件を満たす場合は新たに加入義務が発生します。 ・使用される従業員が常時51人以上 ・週の所定労働時間が20時間以上 ・所定内賃金が月額8万8000円以上(残業代・賞与を除く) ・2ヶ月を超える雇用の見込みがある ・学生ではない ●賃金や物価の変動とマクロ経済スライド 現役世代の人口減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準が自動的に調整される「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。 賃金や物価の上昇に応じて年金額も増えるのが一般的ですが、年金額の伸びを調整することによって財源の範囲内で給付を行えるように保ち、長期的に公的年金の財政を運営していくことが本制度の主な目的です。 なお、現在の制度では、マクロ経済スライドによる調整は「名目額」を下回らない範囲で行うことになっています。