なぜ中学受験をさせるのか。「あなたのためを思って」はいずれ破たんする
---------- 近年、「発達障害」といわれる子どもが急激に増えています。「発達障害」の言葉が広まった結果、大人が理解できない子、大人の期待どおりに育っていない子、扱いづらい子などが、「発達障害」ではないかと疑われていないでしょうか。「発達障害のような症状」が現れる原因はどこにあるか、今の困りごとへはどう対処するか、どう育てていけばよいか、をくわしく解説した『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から、いくつかの章をご紹介します。 【前編】子どもが学校に行きたがらない…そんなとき親がやってはいけないこと 前編<子どもが学校に行きたがらない…そんなとき親がやってはいけないこと、やるべきこと> ----------
中学受験をさせるなら
---------- Kくんは小学3年生。 来年には中学受験のための学習塾に通わせようと考えています。 無事に合格させるには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。 ---------- ■本人に考えさせる 最初に、なぜ中学受験をするのかを親子で確認しましょう。親が一方的に「あなたのためを思って」というのなら、いずれ破たんすることを覚悟しないといけません。 親に言われて受験したものの、せっかく入った中高一貫校で不適応を起こすケースが少なくないからです。友だちと合わない、勉強についていけないなど理由はさまざまですが、子ども本人は大きな挫折感を抱えてしまいます。 中学受験をするなら、子どもにその気持ちがあるかどうか、どこを受けたいかを考えさせましょう。親ができることは、受験する学校の特徴、立地、校風などの情報を子どもに伝えることです。 志望校は偏差値だけで決めないほうがいいとアドバイスをしてもいいでしょう。通学時間や学費などの情報も伝えて、本人に決めさせます。
「やめたい」と言ったら
受験勉強を始めてから、子どもが「やめたい」と言ったら、まずは否定しないこと。どのくらいよく考えての発言なのかを考慮します。小学校高学年なら、こころの脳は育っている時期なので、子どもなりに考えた発言でしょう。 親は感想や希望を言わず、子どもが本心を言える雰囲気づくりをしましょう。「やめたい」と言ったのですから、親に本音を言える子です。むしろ、やめたあと、挫折感を抱かず、新たな目標に向かって進めることが大切です。
成田 奈緒子(発達脳科学者)