「型破りな教室」メキシコの実話から教育の本質を問いかける…担当記者「推しの一本」
◆「型破りな教室」 (20日公開、クリストファー・ザラ監督) アメリカとの国境近くにあるメキシコ・マタモロスの小学校に赴任した教師が、ユニークで型破りな授業で国内最底辺の学力だった子供たちを全国トップクラスの成績に導く姿を描く。昨年の米サンダンス映画祭でフェスティバル・フェイバリット賞(観客賞)を受賞し、メキシコ国内映画興行成績NO1を記録した。 銃声が聞こえたり、路上で死体を見ることが日常茶飯事という環境の小学校に赴任したフアレス先生(エウヘニオ・デルベス)は、試験勉強そっちのけで、「なぜ船は沈んだり浮かんだりするのか?」と生徒に問いかけ、一緒に調べ、体験し、「自分で考える」ことを求める。最初は戸惑っていた生徒たちも、フアレス先生の姿勢に、自ら探求する喜びを知っていく―。 「破天荒な教師」は日本のドラマでもありがちな設定だが、今作は2011年に起きた実話がベース。だから驚きも説得力も高い。常に3台のカメラを回して引き出したという子供たちの自然な表情も素晴らしい。 日本の中学受験は年々過熱していて、それを否定するつもりは全くないが、教育の本質は何か、今一度考えさせられる。小学生の子供がいる方に特にお薦めだ。(土屋 孝裕)
報知新聞社