サッカー=人権団体がFIFA批判、W杯サウジ開催決定で
[リヤド 11日 ロイター] - 国際サッカー連盟(FIFA)が11日の臨時総会で2034年のワールドカップ(W杯)をサウジアラビアで開催すると正式決定したことを受け、人権団体から批判の声が上がっている。 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルをはじめ、サウジの国外移民人権団体、ネパールおよびケニア出身者の移民労働者団体、国際労働組合など、21の世界的な人権団体が共同声明を発表。FIFAの決定を「無謀」と評し、「多くの人命を危険にさらすことになる」と述べた。 さらに「サウジアラビアで抜本的な改革が行われない限り、労働者が搾取され、死に至ることすらあるということをFIFAは知っているにもかかわらず、開催という道に突き進んだ」と批判。FIFAは技術面の評価プロセスでサウジの入札に高スコアをつけたが、アムネスティはこれを同国の人権記録における「驚くべき隠蔽工作」と評した。 サウジでは労働組合活動が禁止されており、移民労働者には最低賃金が適用されない。外国人労働者は雇用主が保証人となる「カファラ」という労働契約制度に縛られ、雇用者の許可なしでは出国ができない。人権団体はこうした環境が搾取につながると訴えている。 また、「ビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)」は、大会に向けて建設中のスタジアムで、酷暑の中、10時間にも及ぶ労働が強いられている疑いがあると指摘している。 一方、サウジのW杯招致委員会責任者、ハマド・アルバラウィ氏は先週、ロイターに対し、国家改革戦略「ビジョン2030」の一環として、労働者の権利保護に向けた取り組みに着手しているとコメント。「現在、従業員には雇用主を変更する自由がある」とし、「企業が倒産した場合でも政府が介入し、労働者への給与支払いを保証することになっている」と語った。