広島・中村奨 軽打だ三盗だ 紅白戦で存在感発揮 新井監督も納得「根気強くやっているように見える」
広島は31日、秋季練習中のマツダスタジアムで12イニング制の紅白戦を実施した。白組の一員として先発出場した中村奨成外野手(25)は、5回に右前2点打を放つと、その直後に1軍公式戦で一度も記録したことがなく、2軍でも過去3度しかない三盗も決めた。従来の長打力を前面に出した打撃スタイルから一転、この日は軽打と足で存在感を発揮。イメージチェンジの躍動で、首脳陣にアピールした。 ひと味違う。中村奨が、これまでとの「違い」をプレーで体現してみせた。 「今まで通りやっていても結果が出ないのは分かっていますし、ガラッと変えられるようにできたらいいと思う。アピールしていかないといけないので、紅白戦でも一生懸命やることは変わらない」 0―3で迎えた5回2死満塁。まずは練習生・デロスサントスのスライダーを、巧みに右前へと運んだ。反撃の2点適時打を放って塁上に立つと、今度は常に次の塁をうかがう走者と化した。続く石原への初球が投じられる前に、一塁けん制悪送球で二進。そこから2球で右腕の投球タイミングを計ると、3球目に動いた。完全にモーションを盗み、鮮やかに三盗を決めた。 今季1軍でマークした10安打のうち、右方向は1本のみ。基本的に引っ張り傾向で、長打力を前面に出すタイプだが、この日は逆方向へ技ありの一打を見せた。加えて、今季まで2軍で積み重ねた通算38盗塁のうち3度しかない三盗も決めた。8年目の来季への危機感が、中村奨を突き動かす。この姿勢に新井監督も「本人も何かを変えていかないといけないと思って秋季練習を始めている。取り組んでいることを根気強くやっているように見える」とうなずいた。 秋季練習ではコンタクト率の向上を目指して一から打撃フォームを構築中。従来はバットのヘッドを投手側に入れていたが、今は真っすぐ立てて構えるように変えた。下半身主導を意識し、無駄な動きを省いたシンプルな打撃フォームを理想に掲げる。本格的に打撃フォームの改造に着手してからこの日が初の実戦となったが、12回の打席でも左前打を放ち、2安打2打点1盗塁と結果を伴った。 「自分が今やっていることが、どれだけできるかなと思って試合に入った。(打つ)方向を決めるなら、方向を決めて、反応で打つなら、反応で打つと決めて、シンプルに考えながら、今やっていることをものにできたらと思う」と中村奨。不退転の決意を胸に、外野の一角を狙う。 (長谷川 凡記)