尾上菊五郎、尾上菊之助、坂東彦三郎、中村時蔵ら豪華共演 「令和7年初春歌舞伎公演」新国立劇場で華々しく開幕
現在、東京・新国立劇場の中劇場で上演中の「令和7年初春歌舞伎公演」に出演する尾上菊五郎、尾上菊之助、坂東彦三郎、中村時蔵らが取材に応じ、本公演への意気込みと新年の抱負を語った。 【全ての写真】国立劇場「初春歌舞伎公演」囲み会見より 今年の「初春歌舞伎公演」は国立劇場の通し狂言「彦山権現誓助剣」。豊前国・彦山の麓に暮らす青年の毛谷村六助が、剣術の師である吉岡一味斎の娘のお園とともに、師の敵である京極内匠を討つまでを描いた仇討ち狂言の傑作だ。人間国宝の菊五郎を座頭に、人気と実力を兼ね備えた一座の豪華俳優陣が、長らく上演されなかった場面を加えて、仇討ち物語の全容を本格上演し、新しい年の歌舞伎を華々しく盛り上げる。 御大将・真柴大領久吉を勤める菊五郎は、「皆様明けましておめでとうございます。お正月のお芝居は、初台の国立劇場から『彦山権現誓助剣』。お園と六助が艱難辛苦をして、京極内匠という大悪人を敵討ちいたします」と新年の挨拶。「どうぞ皆様、初台に足をお運びくださいませ」と呼びかけた。 本公演には坂東楽善、中村又五郎らベテランから、中村萬太郎、市村竹松、市村光、上村吉太朗といった若手勢、尾上丑之助、尾上眞秀、中村梅枝、中村種太郎、中村秀乃介といった孫世代まで、多彩な出演陣が躍動。菊五郎は大詰に登場し、物語を締めくくる役どころで、「大詰めにはこの可愛らしい孫たちが一生懸命に立ち回りをいたします」と目を細めた。 菊之助は、心優しく武術の力量に優れた青年の毛谷村六助を初役で勤めており、「仇討ちのお話ですけれども、人のことを思い、その思いによって自分の業が晴れていく。良いことをすれば、良いことが返ってくるというお正月にふさわしい演目」だと語り、「お客様にもお正月の気分を味わっていただき、気持ちを新たに楽しい気分でお帰りいただけるのでは」とアピールした。 今年5月に八代目尾上菊五郎の襲名を控えており、現在の名跡で国立劇場公演に出演するのは今回が最後。「1日1日を大切に過ごしておりまして、(丑之助とともに)ふたりで一生懸命に稽古を積んでいるところでございます」と背筋を伸ばしていた。 吉岡家と六助にとっての憎き敵・京極内匠を初役で勤める彦三郎は、「ひとりだけ敵役ということで、真に悪を背負いながら、一生懸命に嫌われる役を(笑)勤めております」と思わず苦笑い。同じく初役で、お園を演じる時蔵は「とても楽しい役ですし、鎖鎌を使った立ち回りをしておりますので、それが私の眼目でございまして、いかに刀に鎖を巻きつけるか」とチャレンジを語った。 取材・文・撮影:内田涼 <公演情報> 「令和7年初春歌舞伎公演」 梅野下風・近松保蔵=作 国立劇場文芸研究会=補綴 通し狂言「彦山権現誓助剣」四幕七場 発端:豊前国彦山権現山中の場 序幕:周防国太守郡家城外の場、長門国吉岡一味斎屋敷の場 二幕目:山城国小栗栖瓢箪棚の場 三幕目:豊前国彦山杉坂墓所の場、同毛谷村六助住家の場 大詰:豊前国小倉真柴大領久吉本陣の場 会場:新国立劇場中劇場(東京都) 2025年1月5日(日) ~2025年1月27日(月) 13:00開演(17:20終演予定) 休演日:14日(火)・22日(水)