「監督、ちょっといいですか?」阪神・大竹耕太郎がたった一度だけ岡田彰布に話しかけた日…最初の会話は「冷たい人なのかなというイメージでした」
言葉はないけど「任せたぞ」の信頼
移籍1年目の2023年は開幕から先発ローテーションをつかみ、いきなり6連勝と好スタートを切った。「小学生のころに壁当てで鍛えた」という抜群の制球力と緩急を織り交ぜた投球術は、首脳陣やチームメートらの信頼を得るには十分だった。熱狂的な阪神ファンもうならせた。 シーズンに入っても、監督との会話はほとんどなかった。だが、起用法を通して伝わってくるものがあった。 「言葉はないけど、『任せたぞ』と信頼してくれているのを感じるんです。だからこそ、それに応えようと。責任感も出てきました」 たまに話しかけられる時は、ボソッとひと言。大竹は自他ともに認める雨男。登板日が降雨中止になったとき、「よう雨が降るな」と笑われた。「はい。(梅雨の)6月生まれなので」と切り返してみせた。
「監督ちょっといいですか?」
ただ、この2年間で一度だけ、大竹から監督へ話しかけたことがある。 '23年の夏、開幕から6連勝した後に勝てない試合が続いた時期だ。初球を痛打される場面が目立っていた。一般的には、試合直後に、監督やコーチから反省点や課題を突きつけられるものだが、阪神にはそれがなかった。 「どんなに打たれてもダメ出しはほとんどなかった。だから、次に向けて自分で考えて能動的にやる。それはすごく大事なことだけど、いろいろと考えていく中で行き詰まってしまった」 甲子園球場での試合前の練習中に、センターの定位置付近で打撃練習を見つめていた監督のもとへ歩み寄った。「監督ちょっといいですか?」と声をかけ、率直な思いをぶつけた。「どういうメンタルで投げるべきでしょうか。客観的にベンチから見ていてどう感じていますか」。
(「NumberPREMIER Ex」山口裕起(朝日新聞) = 文)
【関連記事】
- 【あわせて読みたい】「気がついたら勝ち星が…」16年前の新人王右腕がいま明かす阪神・岡田彰布監督の“秘術”…大竹、村上もブレークさせた「自信の効用」とは
- 【こちらも】「あの電話のことは忘れられません」広島カープ・新井貴浩監督が明かす“阪神時代の岡田彰布監督”「自分にとって岡田さんは特別な存在です」
- 【写真】「監督、ちょっといいですか?」大竹耕太郎と岡田監督の貴重なニコニコ2ショット!
- 【原点】「偏差値70超え」阪神・大竹耕太郎の“超エリートだけど泣き虫だった”話…中高時代の同級生が証言「体育の授業なのに…あいつはガチでした」
- 【話題】「やるせないっていうか」阪神・佐藤輝明が明かした“本塁打減少の意外な理由”とは?「今年は本当にキツかった…甲子園の広さと風」