「それぞれの世界にプロがいるんだな」“大阪桐蔭で春夏連覇→5大商社の営業マンに転身”24歳の未来図「今はもう、野球をやろうとは思わないです」
2018年の甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭“最強世代”。根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)ら4人をプロに送り込み、社会人野球で活躍する面々も未だ多い。そんなナインのひとりが昨年、大手総合商社に入社し商社マンとしての道を歩み始めた。圧倒的な強さで全国の頂点に輝いた男は、なぜ若くして野球界を離れることを選んだのか。その決断のウラ側を聞いた。《NumberWebインタビュー全3回の3回目/最初から読む》 【変わりすぎ写真】「ユニフォーム→スーツでも…“青地スマイル”はそのまま!」大阪桐蔭“最強世代”から5大商社のエリート営業マンになった青地さん24歳の現在と、2018年夏「伝説の甲子園決勝」金足農との激闘も見る 2018年の甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭“最強世代”。4人がプロに進んだ史上最強のチームでライトを守っていた青地斗舞は、同志社大を経て昨春、大手総合商社の丸紅に入社した。 右も左も分からない入社直後は、とにかく社内の雰囲気に慣れようと、覚えることが多すぎて悪戦苦闘の日々だった。 「苦労しているのはやっぱり語学力ですね。入社して1カ月後に『英語のミーティングに出てみて』と言われたんですけど、最初は全然、理解できなくて。ずっと会話を必死に聞くだけということもありました。いまはトレード業務が主な仕事なんですけれど、メーカーとお客さんの間に立って双方のニーズを捉えないといけないのは、やっぱり難しいですね」
現在の仕事は…「紙や繊維」に関するトレード業務
現在は主に紙や木質由来繊維の原料を取り扱う業務に携わり、メーカーと顧客の間に立ちながらやり取りをしている。 先輩につき、仕事のレクチャーを受けつつ、日々の流れを体に染み込ませる。これまでは野球で奮闘する時間は長かったとしても、慣れない環境下で走り回ったことはなく、入社以降はとにかく必死に食らいつく日々を送ってきた。 「自分にはまだまだなところばかりですけれど、それでも先輩方が時間を作って丁寧に教えてくださいました。僕はこの会社しか知らないですけれど、仕事はこうやってやるんだよと忙しい中でも1時間くらい時間を取っていただいて、先輩も優しい方ばかり。良い環境でお仕事をさせてもらっています」 2年目となった今は1人でもこなせる仕事も少しずつ増えてきた。それでも自身の進歩にはまだまだ実感がないという。 「2年目の今でも社会人としてまだまだだなぁとひしひしと感じています。入社した直後は語学力が大事だと思っていたのですが、入社して時間が経って思うのは、社内の方々はそれぞれにパッションというか、仕事をやり切る力、調整力などもちゃんと持っていて、英語ができるのは大前提なんです。 そこに社会人として、今やっている仕事に自分がどういう付加価値をつけて提供できるのか。そういう部分を先輩たちに教えてもらいながら成長できればと思っています」 初めて国内のお客さんと対面し挨拶をした時は、青地の経歴を見て、野球の話題で盛り上がったのだという。 「男性の顧客は野球が好きな方が多くて、甲子園の話になると盛り上がりやすいんです。さらに自分の同級生だった藤原や根尾の名前が出ると、『あの世代かぁ』と言ってくださることもあります。 でも第一印象だけ良くて、仕事はイマイチだって思われないように、あれこれ準備をして出向くようにはしているんですけど、先輩には『まだ準備が足りない』とご指導いただいています」 仕事とはいえ、青地の現在の日々は「勉強」だ。まっさらな気持ちでビジネス界に飛び込み、約1年半。全てをすんなりと進めることが容易ではない世界だが、それでも何ごとも前向きに、真摯に受け止めながら進歩を遂げようとする姿がある。 「この会社に入社して、僕は本当に良かったと思っています。今は転職の時代と言われていますけど、自分はこの会社でしっかり評価してもらうことが自分のやりがいになると感じています。学びながらも丸紅の社員の1人としてきっちり仕事をしていくことを心掛けています」
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