吉高由里子「まひろの人生第2章がスタートします」――大河ドラマ「光る君へ」
――馬に乗って登場する吉高さんを見てみたかったです(笑)。書については、「手が震える」というお話もされていました。 「書の稽古では、40分ぐらい経つと手が温まってきて線が安定してくるんですけど、現場では撮影の直前にしか練習時間がないんですよね。だから、短い時間で奇麗な文字が書けるように、家でもコツコツ練習しています。それでも、スタジオの湿度などによって墨の乾き方も変わってくるので、家での練習と同じようにいかない日もあって。スタッフの皆さんに『お祈りしていてください!』とお願いして本番を迎えています。本番は書いている姿を撮影されるので、公開試験を受けている気分で(笑)。苦労もありますが、筆を育てている感覚が楽しいです」 ――大会に出場するアスリートのようですね(笑)。まひろとして書く時と、紫式部として「源氏物語」を書いていく時で、書に変化はあるのですか? 「まひろとしては、仮名文字を多く使いつつ、道長との文通では漢字も取り入れていました。「源氏物語」では、仮名文字と漢字の両方が出てくるので、集大成を感じます。さらに、現代ではあまり使われていない変体仮名も出てきます。不思議なことに、練習しているとその変体仮名も読めるようになってきて。身に染み付いているのが怖いぐらいです(笑)」 ――苦労しながらも、とてもやりがいを感じていらっしゃるようです。 「書の先生は私の字の癖を理解した上で、アドバイスをくださったり、癖を生かそうとしてくださったりするので、ゴルフのキャディさんみたいな存在です(笑)。書の練習は孤独ですし、練習時間は膨大なのに、撮影は30秒ぐらいで終わることもあって。その気持ちを1番分かってくれるのは先生なので、相棒感が強いですし、一緒に挑戦しているみたいでうれしいです」
書きたいことと書きたい気持ちがぴったりと合い、まひろ自身が面白いと思う物語を書きたくなった
――まひろは、これから道長の娘・彰子が暮らす藤壺に上がりますが、道長との距離が物理的に近くなりますね。 「ひかれ合っていることはずっと変わらないんだと思います。道長を思っている気持ちが爆発しないように、一生懸命、自分でふたをして、そこから距離を取っているような気がしていて。一方で『民のためのよき政』という同じ方向を目指す人がいて心強くもあります」 ――まひろにとって、道長はどんな存在だと思いますか? 「生きがいなのではないでしょうか。道長とどうなりたいということではなく、道長が生きていることそのものが、まひろがこの世で生きる理由のような気がします。よりどころですね。お互いが光と影の存在で、まひろが影で支えている時は道長が光っていて、まひろが光っている時は道長が影で支えてくれて」