今のクラブに居場所なし…。今夏に移籍しないとマズイ欧州日本人選手6人。現状を打破しなければいけないのは?
MF:中井卓大(なかい・たくひろ) 生年月日:2003年10月24日 所属クラブ:レアル・マドリード・カスティージャ(スペイン) 23/24リーグ戦成績:18試合0得点0アシスト 将来を嘱望された“ピピ”がキャリアの分岐点に立っている。 レアル・マドリード主催のファンデーションキャンプに参加した中井卓大が、同クラブのカンテラ(育成組織)において日本人初の合格を勝ち取ったのは2012年夏のことだった。そこから中井の名前はサッカーファンの間で一気に知れ渡り、幼い頃に泣き虫だったことからついた“ピピ”という愛称で親しまれた。 そんな中井も現在は20歳。Bチームの位置づけにあるレアル・マドリード・カスティージャに所属しているが、順調なキャリアを歩み続けているとはいえない状況にある。 2022/23シーズンはリーグ戦出場が2試合のみ。2023年8月にはスペイン3部のCFラージョ・マハダオンダへローン移籍したものの、リーグ戦18試合の出場でノーゴールノーアシストに終わった。 マハダオンダが所属する3部リーグはフィジカルにものを言わせたスタイルのチームが多く、試合が肉弾戦の様相を呈することも珍しくない。182cmと決して小柄ではない中井だが、武闘派揃いの3部リーグを戦い抜くにはフィジカル面に物足りなさがあった。類まれなテクニックを持っていても、それを発揮するには「当たり負けしない身体」が必要だった。 今年5月には所属元のレアル・マドリードへ復帰することが発表された中井。カスティージャを率いるラウール・ゴンサレス監督に戦力とみなされている様子はなく、新たな活躍の場を探した方が良さそうだ。
FW:奥川雅也(おくがわ・まさや) 生年月日:1996年4月14日 所属クラブ:FCアウクスブルク(ドイツ) 23/24リーグ戦成績:2試合0得点0アシスト(FCアウクスブルク)/8試合0得点0アシスト(ハンブルガーSV) ハンブルガーSV(ドイツ ※以下HSV)へのローン移籍は、奥川雅也にとって転機となるはずだった。 2023年7月にアルミニア・ビーレフェルトからFCアウクスブルク(ともにドイツ)に完全移籍で加入した奥川だったが、怪我に悩まされたこともあって試合出場はリーグ戦の2試合にとどまった。 今年1月にはHSVへのローン移籍が決定。2018年から2019年にかけて在籍したホルシュタイン・キールで指導を受けたティム・ワルター監督が率いるクラブで再起をはかった。自らをよく知る“恩師”のもと、シーズン後半をより良いものにしようと本人も意気込んでいたはずだ。 しかし、奥川は移籍後わずか数週間で思いもかけない事態に遭遇する。自身をHSVに呼び寄せてくれたワルター監督が解任されてしまったのだ。さらに、チーム合流直後には膝を負傷。復帰後も途中出場が続き、リーグ戦8試合出場でノーゴールノーアシストと結果を残せなかった。 2015年から欧州でプレーを続けている奥川も、今年4月で28歳。これ以上キャリアを停滞させるわけにはいかない。所属元のアウクスブルクはここ9年間で最高順位となる11位で2023/24シーズンをフィニッシュ。奥川が同クラブで居場所を確保するべく奮闘する可能性もあるが、2023/24シーズンにほとんどプレー機会がなかったことを踏まえると、生存競争に割り込むのは容易ではない。 自身を必要としてくれるクラブで再スタートを切るという選択肢の方が、再びキャリアを軌道に乗せる近道となりそうだ。