【ソフトバンク】“最高の教材”今宮健太 川瀬晃のスーパープレー後にあった「ダメ出し」
そのプレーは、今季のソフトバンクの戦いにおおいてハイライトシーンの一つに数えられる。 10月16日に行われた日本ハムとのCSファイナルステージ初戦。1―1で迎えた3回一死一、三塁の守備だった。中堅に抜けそうな松本剛の打球を二塁手の川瀬晃内野手(27)が横っ飛びで捕球すると同時に、遊撃手の今宮健太内野手(33)へトス。無駄のない連係プレーから一塁へ送球され、4―6―3の鮮やかなゲッツーが完成した。併殺に打ち取れなければ勝ち越しを許し、流れは変わっていたはず。まさにビッグプレーだった。 シーズン終了後、川瀬はこのプレーを今季の印象に残るプレーに挙げた。チームの窮地を救ったスーパープレーゆえだが、理由は他にもある。「今宮さんじゃないと取れていないゲッツーなのに、テンションが上がりまくって、今宮さんにハイタッチするのを忘れてしまい、試合後に『俺にハイタッチは?』という言葉をいただいて…。オフも今宮さんからまだ言われるんです。だから、すごく思い出のあるプレーなんです」 プロ9年目の今季、川瀬は遊撃のレギュラー奪取を高々と掲げて臨んだシーズンだった。内野の複数ポジションをこなすユーティリティー性を生かしてキャリアハイの105試合に出場したが、正遊撃手の牙城は高かった。 「やっぱり、あの人はすごい」 これまで以上に重要な局面を託されるようになったからこそ、改めて今宮の偉大さに気づいた。視野の広さ、落ち着き、周りへの気遣いや声かけといった「内野の要」に求められる要素に、差を感じ取ったからだった。 〝ハイタッチ忘れ〟をいじられ続ける理由は分かっている。慢心を許さず、己を高めてくれる最高の教材に感謝は尽きない。
東スポWEB