日本の「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産に登録決定!「世界でも類を見ない作り方」
日本酒、焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」が12月5日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産に登録が決定したことを受け、日本酒造組合中央会が都内で記者発表会を行った。 【写真】「伝統的酒造り」で作られたお酒が並ぶ「日本の酒情報館」 今回の決定を受け、日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会の小西新右衛門会長は「『伝統的酒造り』とは日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりんという伝統的な酒造りを大事にしている団体が、今回その技術を伝承するということで認めていただいた。こうじ菌の働きを使うという範囲の中で決めていただいたのだが、世界ではなかなか理解いただくことが難しいわけで、今回伝承するということで世界に認めていただいたことは非常にうれしく思っている」と喜んだ。 日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事は、決定の様子を動画で見守ったといい「11月4日にユネスコの評価機関より『(代表一覧表への)記載』の勧告が出て、今日の2時30分から4時30分まで政府間委員会で審議が行われていた。非常に多くの審議項目がある中で一つひとつ審議され、今朝方、ちょうど3時43分が決定の瞬間だった。この後に日本政府が用意した動画と日本国政府代表部の加納雄大特命全権大使がスピーチされ、終わった後に我々も日本酒で乾杯した」と振り返った。
小西会長は、世界で日本の酒が注目される背景を「以前から感触はあったが、一番のターニングポイントは(2013年の)『和食』の登録。ペアリングにおけるお酒の面白さが少しずつ理解され始めた中で、ここ数年ヨーロッパを中心にソムリエの方たちからお酒に関心を持っていただき始めた。食中酒の位置付けはワインがすべてと思っている方たちに、日本のお酒の存在を理解され始めたということはすごく手応えを感じた」と明かし、 今後について「今回『伝統的酒造り』はこうじ菌の範囲だが、ベルギービールは『ベルギービール文化』として登録されている。文化でいうと醸造酒の日本酒と蒸留酒の本格焼酎・泡盛は違うわけで、これまで主張したくてもしづらい部分があったが、これからはそれぞれが持つ文化をどれだけ理解いただくかという努力が非常に大切。こうじ菌というものの面白さは、これまで酒造りを支えてきただけでなく、これからさまざまな技術面で生きてくることがあると思う。『伝統的酒造り』を軸にしながらいろいろ考えていくことが大事だ」と訴えた。 最後に小西会長は「お酒は、醸造酒の中でも並行複発酵という糖化とアルコール発酵が同時に行われる世界でも類を見ない作り方で作られている。日本の皆さんにもワインとビールとお酒がどう違うのか、これをきっかけに少し思いを馳せていただければ。このお正月に『伝統的酒造り』のお酒で乾杯しようと思っていただけるとうれしい」、宇都宮理事は「今晩はぜひ記念に日本のお酒で乾杯していただければ」と呼びかけた。 日本酒造組合中央会では今後、ユネスコ無形文化遺産登録を記念した関連イベントなどを予定している。