東京の「子供部屋おじさん」は裕福…地方とは大きく異なる「実家暮らし」の事情
深刻なケースは……
そんななか、深刻な問題に発展してしまう可能性があるのが、親がそこまで裕福ではない家庭の「子供部屋オジサン」だという。 「親がまだ働ける年齢のうちはいいのですが、親が高齢になり仕事ができなくなると、今度は依存していた子供側が稼いで養わなければならないという、“逆パラサイト”のようなことも起こります。しかし子の経済力では生活を支えられず、貧困に陥ってしまうというケースが近年は散見されているのです。実家暮らしでも裕福な暮らしができるかどうかは、まさに“親ガチャ”と言えるでしょう」
親が高齢になって危機に直面
「子供部屋オジサン」はどんな“未来”にいきつくのだろうか。分析すると問題点が見えてくる。 「現代において独身で実家暮らしを続けるメリットは、親がある程度裕福であれば自分の好きなように自由にお金を使えることですが、そのメリットも当然ながら永遠には続きません。親が高齢になって介護が必要になったとき、また親が亡くなったときに親に依存していた子供は初めて危機に直面します。 私がこれまで取材、研究してきたパラサイト・シングルたちは、その多くが将来のことをきちんと考えていませんでした。いつか結婚して親の家を出て行くはず、と思っている人がとても多かった。そして、親の高齢化で危機が訪れた際に、そこではじめてどうしていいかわからず、慌てふためくといったケースを多々見てきました。短期的な目先の快適さに流されて自立することを怠っていると、後々になって大きな問題がふりかかってくるわけです」
親に依存し続ける人が増える
最後に、今後の日本における実家暮らしの形がどうなっていくのか予想してもらった。 「今後は昭和のころのような親に収入のすべてを託す実家暮らしのスタイル、そして近年目立ってきている親に依存し続ける実家暮らしのスタイルが併存していくでしょう。しかしその割合は五分五分というわけではなく、前者のようなスタイルは親が貧困でない限りなかなか見られないケースですので、後者のスタイルが増えていくと予想しています。そして、晩婚化・未婚化にさらに拍車がかかってしまうのではないかと大変危惧しています」 ――Xのポストで指摘されていたように円安、物価上昇、賃金横ばいなど厳しい経済状態が続けば、「一人暮らしへのハードルはより高くなっていく」と山田氏は言う。 いずれにしても、実家暮らしの独身者を「子供部屋オジサン(オバサン)」と一括りにして揶揄するのではなく、経済的に親と協力し合っているのか、それとも親に依存状態になっているのかで、内情や将来性はだいぶ違うということだろう。 (取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)
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