米大統領選で後継のハリス氏、“56年前の悪夢”よぎる? トランプ陣営、「民主主義と正反対」なぜ批判?【#みんなのギモン】
■「公正で透明性ある選び方」アピール
近野解説委員 「しかし今回は事実上、民主党は予定調和ではありますが現職のバイデン氏だけが予備選を勝ち上がってきました。ハリス氏は、もちろんこの戦いを勝ち上がってきたわけではありません」 「これについてトランプ陣営からは『バイデン氏を選んだ1400万票の民意を無効にした民主党は、“民主主義”とは正反対』と批判が早速出ています」 斎藤佑樹キャスター 「確かにハリス氏は予備選を経ずに来たので、バイデンさんが選んだというだけですから…」 近野解説委員 「その後ろ盾だけがある状態です。そういうわけでということなのか、アメリカメディアによると、民主党は党大会の前の8月7日、オンライン投票で大統領候補を選出すると明らかにしました」 「投票という手続きを党大会の前に挟むことで、公正で透明性のある選び方をしたんだとアピールできます。また、この日程だとハリス氏以外の立候補は非常に難しい。ハリス氏への一本化を確実に進めたい狙いも透けて見えます」
■支持固め着々、献金は史上最高額
近野解説委員 「さらに、アメリカの主要メディアは、ハリス氏が指名獲得に必要な代議員の過半数の支持を固めたと報じています。民主党の新たな候補となるのは確実な情勢とみられています」 「選挙を続けるために大事な献金もどんどん集まっていて、陣営はバイデン氏が撤退してからの24時間で8100万ドル、日本円で約127億円を集めたと明らかにしました。陣営によると、1日で集まった額としては史上最高額だそうです」 森圭介アナウンサー 「金額だけを見てみれば、ハリス氏への期待が高まっているのが分かります。バイデン氏の撤退からそんなに時間がない中で、一気にハリス氏に固まっていくのが感じられます」
■有力な議員が暗殺…トラウマの中身
近野解説委員 「迷走する恐れもありましたが、かなり矢継ぎ早に手を打っている状況ですね。ではなぜ、そんなに矢継ぎ早に進めているか。それは、56年前のトラウマがあるからです。最も避けなければいけない深刻なトラウマが民主党にあり、1968年の大統領選がそれにあたります」 「この時も、民主党は現職のジョンソン大統領が選挙戦の途中で撤退しました。バイデン氏の途中撤退は、この時以来56年ぶりの異常事態です。ただ当時は党大会まで5か月近く残っていたので、民主党は党内の予備選挙を続けていきました」 「しかしそのさなかに、ケネディ大統領の弟で有力とされたロバート・ケネディ上院議員が選挙中に暗殺されたこともあり、党大会に至るまで党内で一致できる候補が絞り込まれませんでした」 「最終的には、当時副大統領だったハンフリー氏を指名したものの、これに反発する声がこの時点でも根強く、党大会は会場の中も外も暴動のような大荒れになりました。警官隊まで投入される騒ぎになってしまいました」