テフロン風邪って? ノンスティック加工のフライパンで起こりうる症状を解説
※この記事は、海外のサイト『delish』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 テフロン加工の調理器具が選ばれているのは周知の事実。(フライパンにこびりついた卵を毎回こすり落とす必要がないことから)後片付けの手間が省けるいっぽうで、テフロン加工のコーティングは摩耗すると健康に害を及ぼす可能性がある。 実際『ワシントン・ポスト』によると、最近テフロン風邪と呼ばれる病気の症例が増加しているという。昨年はアメリカでテフロン風邪の疑いのある症例が267件あり、これは2000年以降で最多と考えられている。とはいえ、この珍しい病気の正体とは? どれくらい危険なことで、私たちはどれほどのリスクにさらされているの?
テフロン風邪とは?
ポリマーヒューム熱とも呼ばれるテフロン風邪は、過熱したテフロン製またはテフロン加工のフライパンから発生する分解ガスの煙を吸い込むことで起こる病気。この種類の調理器具は、ポリテトラフルオロエチレン(別名PTFE、または「永遠の化学物質」)で作られており、分解されるまでに数十年~数百年かかる。 ほとんどの場合、これらのPFTEは危険ではない。フライパンを指示通りに使用していれば、心配する必要はないという。ただし、テフロンが260℃以上に加熱されると、この「ヒューム熱」を引き起こす煙の放出量が増える可能性があると「CNET」は報告している。 症状は一時的であり、通常は煙と接触後12~24時間以内に現れるけれど、発熱、悪寒、筋肉の緊張、頭痛のような症状を経験する恐れがある。できれば避けたい症状であることを考えると、テフロン熱を避ける簡単な方法を知っておきたい。火加減を弱火から中火に設定し、表面温度が230℃を超えないように注意しよう。
フロリダ州のカイザー大学カリナリーアートセンターのベーキングおよびペストリー科の学科長であるシサヴァス・ケオビレイ博士は、予防策として「調理するときは常に」オーブンの換気フードや換気扇をオンにすることも重要です、と『フード&ワイン』に語っている。「食品の発煙点と調理に使用する化学物質を考えると、換気フードシステムを使用するのはいい習慣でしょう」とケオビレイ博士は続ける。 それでもなおテフロン風邪が心配なら、違う素材のフライパンに変更しよう。ニューヨークの「インスティチュート・オブ・カリナリー・エデュケーション」でオンラインのカリナリーアートと食品オペレーションの主任シェフ講師を務めるショーン・マティエビッチさんは、「同じノンスティック効果」があるけれどリスクのない、油ならし済みのブルースチール(青焼きされた鉄加工)製または鋳鉄製のフライパンを推奨している。「私は家でテフロン加工のフライパンを使いません。プロとして卵をたくさん調理するときや、テフロンに効率面でメリットがある特別な料理を作るときだけ使用します」と話している。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images