血の泡を吹くなどし心肺停止に…最愛の妻がコロナワクチン接種後に死亡 調査報告後も夫の心に残るわだかまり
■第1回会合から9カ月…調査委は「救命できた可能性否定できない」
「医療事故調査委員会」は2022年12月に、第一回が開かれた。
当時の医師や看護師へのヒアリングを進め、綾乃さんへの対応や会場の体制に問題がなかったか、検証が始まった。
飯岡さん(2022年12月): 「妻がどうして亡くなったかを知りたいですね。そして責任の所在ですね。それを、出てくるのを、しっかり待ちたいと思います」
第1回から約9カ月が経った2023年9月26日、医療事故調査委員会が記者会見した。
70ページ以上にわたる調査報告書では、ワクチン接種と死亡との因果関係を指摘し、当日の経緯についてや、早期のアドレナリン投与で綾乃さんの命が救えた可能性があったと結論付けた。
2022年11月5日の午後、自ら車を運転し会場を訪れた綾乃さんは、「体調は変わりないか」という事前の問診に「はい」と答えた。 午後2時18分、ワクチン接種。その7分後、経過観察室で綾乃さんはせき込み始めた。
看護師: 「大丈夫ですか?」 綾乃さん: 「息がしにくい」 看護師: 「喘息があるのですか?」 綾乃さん: 「精神的に過呼吸が時々ある」 看護師: 「いつからですか?注射を打った後ですか?」 綾乃さん: 「打つ前から」
その後、間もなく接種ブースから医師が到着したが、明らかな異常は確認されず「打つ前から体調が悪かったようだ」と看護師から伝えられた医師は「アナフィラキシー以外の可能性が高い」と判断し、アドレナリンの投与ではなく、血圧などのバイタルチェックを優先していた。
また「接種前から体調が悪かった」はずの綾乃さんが「問診をクリアしていた」という矛盾に、医師が気付いていなかったことも指摘している。
アナフィラキシーについては起きていた可能性が高いとして、アドレナリンを打たなかった医師の判断は「標準的ではなかった」とし、早期にアドレナリンを投与していれば、「命を救えた可能性は否定できない」と評価した。
医療事故調査委員会の長尾能雅委員長: 「早期にアドレナリンが投与された場合、症状の増悪を緩徐にさせ、救命できた可能性を否定できない」