「国民連合政府」構想は「オリーブの木」になるのか?
日本版「オリーブの木」が視野に入った?
そこで私は共産党の「国民連合政府」構想が小沢一郎氏の主張する「オリーブの木」になれるかに注目している。「オリーブの木」はイタリア共産党がリベラルな社会民主主義政党に移行して経済学者のプローディ氏を担ぎ、共産主義の色彩を抑え、市民運動を背景に中道と左派政党との連合を実現し、1996年の選挙でベルルスコーニ率いる右派連合に勝利し政権を獲得した。 自公に対抗するにはそれしかないというのが小沢氏の考えだが、共産党の志位委員長はかつて小沢氏の構想に懐疑的であった。共産党が解党する話だからである。しかしここにきて「国民連合政府」構想を打ち出したのは、「オリーブの木」が視野に入って来たのかと思わせる。沖縄の経験から国政を変える政治の動きが、安保法反対の市民運動と呼応する事になれば、日本の政治は新たな段階を迎えると私は思っている。
■田中良紹(たなか・よしつぐ) ジャーナリスト。TBSでドキュメンタリー・ディレクターや放送記者を務め、ロッキード事件、日米摩擦、自民党などを取材する。1990年に米国の政治専門 チャンネルC-SPANの配給権を取得してTBSを退職、(株)シー・ネットを設立する。米国議会情報を基にテレビ番組を制作する一方、日本の国会に委員会審議の映像公開を提案、98年からCSで「国会テレビ」を放送する。現在は「田中塾」で政治の読み方を講義。またブログ「国会探検」や「フーテン老人世直し録」をヤフーに執筆中