「国民連合政府」構想は「オリーブの木」になるのか?
共産党にとっては画期的な提案
そうした時に日本共産党が「国民連合政府」構想を打ち出し、野党に選挙協力を呼びかけた。これは画期的な提案である。なぜなら共産党はこれまで「万年野党」として唯我独尊を貫き、政権構想に一切関わろうとしなかった。政権を批判する事で国民の一部の支持を取り付けるだけだったが、それを180度変えるというのである。 安倍自民党と公明党の思想は基本的に水と油である。しかし両者は「権力を握る」という一点で結びつき、水と油の政策をうまくごまかしながら政権運営してきた。今回の安保関連法も安倍総理の本音とは程遠い妥協の産物で、国民の目をごまかす欺瞞に満ちているが、しかし民主政治とは妥協にこそ本質があり、純な正義を貫くものではない。 自公連立は15年近い年月を経て連立の技を磨いてきた。公明党は候補者を擁立せずに自民党に基礎票を提供して第一党の座を与え、その見返りに自分たちの支持者を喜ばせる政策を実現させる。公明党の協力がなければ自民党の議席数は激減する。 これに対し小選挙区の各選挙区に2万票を持つと言われる共産党は、ほとんどの選挙区に候補者を擁立するため野党の票が割れて自公の選挙協力を有利にしてきた。共産党がそれをやめれば自公の選挙協力と野党の選挙協力がぶつかりあい、政権交代の可能性は倍増する。 この提案の予兆は沖縄にある。去年12月の県知事選挙で共産党は自民党の県連幹事長を務めた事もある翁長雄志氏を支持し当選させる事に成功した。その後に行われた総選挙でも沖縄のすべての選挙区で自民党候補を落選させ、共産党、社民党、生活の党、無所属の4人が辺野古移設反対を掲げて当選した。 共産党はその手法を国政選挙でも実行しようとしている。集団的自衛権の閣議決定を覆すには政権を奪うしか方法はなく、従って来年の参議院選挙で野党候補者を一本化して自公を過半数割れに追い込み、次いで安倍政権を解散に追い込んで政権を奪い、安保法の廃案を目指そうというのである。