【40代・50代は知っておきたい】災害用トイレの備えに「ペットシーツ」をおすすめする理由
災害用トイレはコスパと使い勝手が重要
今はさまざまな種類の災害用トイレが販売されているので、そうしたものを利用するのもひとつの手。でもコスパや使い勝手で課題もある。 「例えば1個100円で売っているものでも、4人家族で2週間分用意しようと思ったら5万円近くかかってしまう。『片手で簡単』と書いてある携帯トイレなどもありますが、片手で持ってあてがって排泄…なんて女性には難しい。ましてや大のほうなら体勢的にも到底無理です。実際に被災したときにパッケージを開けてみて『あ、できない』となったら備えている意味がありません。 だからトイレを準備するときはコスパと併せて、実際に使えるのかという点まで考える必要があります。『平常時に試してみて大丈夫かどうか』というところまでやってみることが大切です」
ペットシーツを使った災害用トイレならコスパ◎
被災地での豊富な経験や自身で研究した結果から、辻さんが最もおすすめするのはペットシーツを利用した災害用トイレ。 「吸水性に優れた高分子ポリマーで排泄物をしっかりキャッチしてくれ、消臭力も高い。サイズやものにもよりますが100枚入って1200円程度とコスパもよく、家のトイレを使ってできるので、普段に近い環境で排泄できるのも大きなメリットです」 使うものはペットシーツ、45Lゴミ袋、新聞紙の3つ。作り方も簡単だ。 1.トイレの便座を上げてゴミ袋を2 枚重ねてかぶせる。 2.吸収面が上になるようにペットシーツをたたみ、水がたまるくぼみに押し込み、便座を下ろして出来上がり。 3.用を足したら、ちぎった新聞紙を排泄物の上にかぶせ、上のゴミ袋だけを外して口を結ぶ。 4.またゴミ袋を1 枚かぶせ、たたんだペットシーツをくぼみに押し込み…と同じことを繰り返す。 ペットシーツは種類が豊富だが、災害用トイレにおすすめなのは「厚手レギュラーサイズ」。 「薄型、小型犬用などでは吸水力が不十分ですし、ワイドサイズは大きいけれど枚数が少なくコスパが悪いため、『厚手レギュラーサイズ』がベストです。ペットシーツは、生理用ナプキンや子ども用のおむつのように水分を瞬間的に吸収はしません。350ml~400mlは2分ほど、500mlは5分ほどかけてじわじわと吸収していきます。まずは少量を買って実際に使ってみて、ご自分やご家族にとって使い勝手のよいものを備蓄してください。 ライフラインが止まってゴミ収集もストップしてしまうと、排泄物をしばらく自宅に置く必要が出ます。ニオイ対策も併せて考えておくといいですね」
【教えてくれたのは】 辻 直美さん 国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事。1991年、看護師免許取得。1993年「国境なき医師団」の活動で上海に赴任。帰国後、阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。以降、国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)において国内外の被災地で活動。現在はフリーランスのナースとして講演、防災教育、被災地支援活動を行う。『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)ほか、防災関連の著書多数。 イラスト/ミヤウチミホ 取材・文/遊佐信子