スキマ時間の単発バイト、なぜか「物流倉庫」がやたら人気なワケ
作業の定型性にマッチ
物流倉庫の現場は、日や時間によって業務量の差が大きいことが多い。季節的な要因以外にも曜日による繁閑、また1日のなかでも ・午前中に作業が集中する ・夕方から夜間に人手が多く要る などといった時間帯ごとの繁閑もある。当然、繁忙期に合わせて正規雇用の社員やパートを雇い入れておくことはできない。必要最小限の人員を固定的に確保し、それを超えた人手については派遣社員やスポットワーカーを活用することになる。 前述のとおり、スポットワーカーは派遣社員よりも勤務時間帯や勤務する日を柔軟に設定することができる。2~3時間だけ、あるいは月末の特定曜日だけといったように人手が必要となるところにピンポイントで募集をかけることができる。 さらに、必要な人数を前日、早ければその日に募集をすれば、その人員を集められるといった使い勝手のよさもある。 物流倉庫で働くことを希望する側も、比較的作業が定型的で決められたことを行えばよい仕事のほうが働きやすいと考えている人が多い。過去に同じような作業をした経験があれば、慣れるまでそれほど時間がかからないということもあるだろう。また、 「接客があまり好きでなく、黙々と仕事をしたい」 という人たちも少なくない。
スポットワーカーによる職場魅力化
職場を選ぶ際、以前にその物流倉庫で働いた人たちのコメントを参考にして、 「働きやすそう」 「自分に向いていそう」 といった評価を事前に確認することができる。当然、仕事の教え方が雑であったり、乱暴な言葉遣いをしたりするリーダーがいる、あるいは休憩室が快適でないといった“悪い評価”をつけられた現場は登録者から避けられ、必要な人員を充足させることはできなくなる。たとえその日だけの勤務であったとしても、 「大切な従業員」 という姿勢で接しなくてはならない。そのため、物流倉庫の管理者としても、スポットワーカーを含めた作業者全員が働きやすい職場環境を作り上げることが今後より一層求められる。初めてその現場に来た人に対しては、作業の仕方や注意すべき点などを丁寧に説明し、またしっかり業務を行ってくれた人に対しては感謝の意を伝えるなど、 「またここで働いてみたい」 と思わせる職場にしていかなければならない。スポットワークにおいてもリピーターが来れば、教育の手間を省けたり、少しレベルの高い業務に従事してもらえたりといったメリットも生じる。ワーカーの“よい評価”がさらに応募者を増やすといった好循環につながる。 さらに、スポットワーカーを自社の直接雇用に“引き抜く”ことを推奨している業者もある。ワーカーのなかで優秀な人を自社のパートや正社員として雇用できれば、その現場の戦力は一段と増強されるだろう。