ヤクルト石川が史上最長タイ23年連続勝利!44歳が9年ぶり完封 最速130キロも自在緩急 「特別」な今季初勝利
◆日本生命セ・パ交流戦 楽天0―4ヤクルト(2日・楽天モバイル) ヤクルト・石川雅規投手(44)が、工藤公康(横浜)、山本昌(中日)、三浦大輔(DeNA)のプロ野球記録に並ぶ23年連続勝利を達成した。入団1年目からは史上初の快挙。楽天・岸と合計年齢83歳対決で5回4安打無失点と投げ勝った。降雨コールドながら9年ぶりの完封で交流戦トップを更新する通算29勝目をマークした。 降雨コールドが決まると、石川はベンチで仲間たちと握手を交わし笑顔を見せた。「シーズン最初の勝利というのはすごく特別だなと改めて感じます」。4度目の先発でようやくつかんだ今季初勝利の味をかみしめた。 初回から3者凡退に退け、波に乗った。直球の最速は130キロながら、最遅のカーブは99キロ。緩急差を生む熟練の投球術で相手打線を翻弄(ほんろう)した。白星がかかった4―0の5回2死一塁では、小郷を宝刀シンカーで一ゴロに料理。ぬかるむ足元をものともせず5回を65球で投げ抜いた左腕は「生まれは秋田ですけども東北の地でそういう勝利を挙げられたというのは、すごくうれしい」。縁のある地で56~77年米田(近鉄)の22年を抜き、プロ野球新記録となる23年連続勝利。通算350勝投手を上回り、新たな勲章を手に入れた。 昨季は自己最少の13登板で2勝5敗に終わった。セ・リーグを連覇した21、22年とは違い、オフが長かった分、トレーニングに割く時間は増えた。愛用の「ZARA」のパンツが「ぶかぶかになった」ほど体を絞り、2月のキャンプに入った。進化を求めて努力を絶やさないからこそ、長らく一線で活躍できた。 球界最年長の44歳になった今も貫く流儀がある。ウォーミングアップは若手と同じメニューに全力で取り組む。「これができなくなったら俺は終わり」と、自分に重圧をかけながらグラウンドで汗を流す。「体が年齢を重ねて昨日まで良くても、今日はすごく張りが強いなって日もある。でも年が44だからと言って逃げたくない。マウンドに立ったら44だから1ストライク、1ボールでスタートするわけじゃないでしょ? だから年は気にしない」。衰えは感じているが、「野球は今でもうまくなりたい」という心は少年の頃のままだ。 引き分けを挟み5連敗中だったチームも救った167センチの“小さな大投手”。その背中はいつにも増して大きく映った。(長井 毅)
報知新聞社