津波を引き起こしやすい “アウターライズ地震”
今月26日午前2時10分ごろに起きた福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.1の地震は、一昨年の東日本大震災以来この海域で心配されていた「アウターライズ地震」であることが分かった。日本海溝の東側で起きたこのタイプの地震は、震源が陸から離れているため震度は比較的小さいが、過去にも大津波を引き起こしている。幸いにも今回観測された津波は小さかったが、今後も同タイプの地震および、それが引き起こす津波の発生が予想されるため、“長い揺れ”を感じた時はとくに注意は必要だ。 ■津波の規模も大きくなりやすい”アウターライズ地震” 気象庁や地震の専門家らによると、アウターライズ地震とは、陸側のプレート(岩板)の下に海洋プレートが潜り込んでいる海溝の外側(アウター)で起きる地震のこと。その場所では、動いて来る海洋プレートが海溝下の陸側プレートとの境界面でブレーキがかけられ、盛り上がった地形をしているために「アウターライズ」(海溝外縁隆起帯)と呼ばれている。 東日本沖の日本海溝では常に、陸側の北米プレートの下に海側の太平洋プレートが潜り込んでいる。それに引き込まれていた北米プレートが耐えられずに一気に跳ね上がったケースが、東日本大震災を引き起こした“プレート境界型”の大地震(M9.0)だ。 地震はそれだけでは終わらない。今度は、プレート境界でのブレーキがはずれたために、太平洋プレートの潜り込みがスムーズとなり、運動方向が水平から潜り込みに転じる曲がり角(アウターライズ)では、潜り込むプレートに引っ張られるような形で断層(つまり地震)が発生しやすくなる。これが今回のアウターライズ地震だ。 アウターライズ地震の特徴は、岩板が引っ張られて起きる“正断層”型の地震であり、東日本大震災を引き起こした地震のような両側からの圧縮による“逆断層”型の地震よりも、上下方向の断層のずれが大きいことだ。このため津波の規模も大きくなる。さらにプレート境界型の地震の後に、時間差はあっても、引き続いて発生しやすいということだ。