2023年ドラフト“1年後検証”…ドラ1が「注文通りの活躍」の巨人と楽天、DeNAは下位指名選手から有望株が?《巨人・楽天・DeNA・ソフトバンク編》
今年も大きな盛り上がりを見せたプロ野球のドラフト会議。だが、その真価が問われるのは実はずいぶん先のことでもある。それでも「1年」経てば、各球団の指名選手の見通しも見えてくる。「東都7人衆」などが話題を攫い、「大学生が空前の当たり年」と言われた2023年のドラフト指名選手たちの1年目は、果たしてどうだったのだろうか? 《全3回の2回目/#1、#3を読む》 【写真で比較】「わずか1年で…こんなに変わる?」新人王候補から一軍登板なし、まさかの戦力外通告まで…2023ドラフトで話題だった「東都七人衆」の明暗分かれた現在を見る
巨人は支配下指名が安定の活躍も、育成からの“躍進”はナシ
【巨人 2023年ドラフト指名選手】 1位 西舘勇陽 21歳 投手 中央大 185cm79kg 右投右打 2位 森田駿哉 26歳 投手 Honda鈴鹿 185cm88kg 左投左打 3位 佐々木俊輔 24歳 外野手 日立製作所 174cm80kg 右投左打 4位 泉口友汰 24歳 内野手 NTT西日本 178cm80kg 右投左打 5位 又木鉄平 24歳 投手 日本生命 182cm92kg 左投左打 【巨人 総評】 1位指名・西舘勇陽、今季28試合1勝3敗20ホールド・防御率3.82。西舘投手が1年目からこれぐらい投げるだろうことは、おそらく、12球団の共通認識だったろう。1位指名で競合した日本ハムにもし入団していたら、「20ホールド」という記録が、先発の5勝ぐらいに置き換わっていたかもしれない。 2位指名以降、連続4人、社会人野球から指名した巨人。 2年連続Bクラス、リーグ優勝からも3年間遠ざかっていた巨人が、「王者」のプライドにかけて、来季は何が何でも「V」しかない。なにかと形を整えてきた巨人が、なりふり構わず指名してきた社会人野球の4選手は、今季、どんなルーキーイヤーを過ごしたのか。 法政大2年時以来、2度目の左ヒジ手術をシーズン早々の4月に行なった2位・森田駿哉(投手・Honda鈴鹿)は、9月にイースタンの実戦にカムバック。横浜DeNAを相手に2イニングで4三振を奪い、復活の兆しを示した。 体調さえ万全なら、アベレージ145キロ前後の速球に、カープ、スライダー、チェンジアップ、フォーク。持ち球のすべてでカウントがとれて、特にツーシームは左打者の内角を突ける。西武・武内夏暉投手の今季(10勝)ぐらい働いても、ぜんぜん驚かないのだが。 一軍のサブ的存在として、共に60試合前後、ベンチ入りした3位・佐々木俊輔外野手(日立製作所)と4位・泉口友汰内野手(NTT西日本)。 佐々木外野手(59試合・打率.231)は社会人当時から定評の強肩を発揮して走者の進塁を阻止し、泉口内野手(66試合・打率.201)は一塁以外の内野全ポジションを守って、高い守備率(.989)で門脇誠遊撃手と共に、優勝チームのキーポジションを守ってみせた。 来季に向けて、面白い存在なのは5位・又木鉄平(投手・日本生命)だ。 今季のイースタンで、ローテーション投手として投げて5勝3敗・防御率2.07。ただ、イースタン87イニングで22四球だった制球力が、一軍だと10.1イニングで10四球と発揮しきれない。制球力がないわけじゃない。「一軍」という環境のマウンドに慣れることか。場数を踏みたい。 そして、もう一つ。2023ドラフトで7人獲得した育成選手たちの、ファームからの「鳴動」がいま一歩聞かれなかったこと。ここが、ちょっと寂しかった。 【総合評価 〇】
【関連記事】
- 《中日・日ハム・ヤクルト・西武編》2023年ドラフト“1年後検証”…「東都7人衆」“ドラ1投手大崩れ”の中で奮闘したのは? 目を引く西武の「大成功」
- 《広島・ロッテ・阪神・オリックス編》2023年ドラフト“1年後検証”…カープファンから「常広はまだか!」の悲鳴、オリ6位の覚醒はドラフトキング級?
- 【写真で比較】「わずか1年で…こんなに変わる?」新人王候補から一軍登板なし、まさかの戦力外通告まで…2023ドラフトで話題だった「東都七人衆」の明暗分かれた現在を見る
- 【あわせて読む】清原正吾はなぜ“指名見送り”だったのか? あるスカウトの本音「本当に力のあるバッターだったら…」 2024年《運命のドラフト会議》その後の物語
- 【こちらも読む】「みんな“指名漏れ”ばかり話題にするけど…」あるスカウトが語った慶大・清原正吾の“本当の功績”とは? 「野球界にすごく大きなものを残した」