子どものとき、異性に言われた「キモイ」が原因で自信を消失。トラウマを抱えた男にメンエス嬢がかけた一言とは?【作者に聞く】
メンズエステとは、マッサージを中心とした施術で心身の癒やしを提供する男性向けのお店のこと。「メンエス嬢加恋・職業は恋愛です」は、そんなメンズエステを舞台にした創作漫画。美しくもミステリアスな主人公の加恋が、店にやって来た“訳アリ”な客の心を解きほぐす様を、蒼乃シュウさん(@pinokodoaonoshu)が丁寧に描く。 【漫画】本編を読む 今回は、「自信がない男」の後編。どうしても自分に自信が持てず、恋愛したくてもできないと嘆く日影ユキオ。加恋のマッサージを受けながら、自己肯定感が地に落ちる原因となった小学校時代について思い出す。 ■「キモイ」や「ブス」など子どものころの暴言に自信を失った人へ、せめて漫画の中で「あなたは悪くない」と伝えたかった クラスの女子に「キモイんだよ男のくせにナヨナヨしやがって」「なんで男子のくせにピンクの筆箱なんて持っているんだよ」とからかわれていたユキオ。あるとき、体育の授業でペアを組むことになった女子に「えーやだぁオカマじゃんキモっ」と拒否される。蒼乃シュウさんに今回の漫画を描こうと思った理由と、一番描きたかったことを聞いてみた。 「小学生時代に異性から言われた心ない言葉に傷つき、いまだに引きずっている人は結構多いように感じます。今回のお話では女子がユキオ『キモイ』と言いましたが、実際には男子が女子に『ブス』と暴言を吐くことも多いのではないでしょうか。子どもは残酷なのでそういうことを気軽に言いがちだけど、『子どもだから仕方ない』で片づけられる問題ではないと思っています。また、『いじめるのは好きだからだ』とか『好きな子の気を引くためにちょっかいを出す』といった、昔からよくある考えにも納得できません。 そういう子どものころに受けたからかいをいつまでも気にして自信がもてないままだと、これからの人生があまりにももったいない!だからせめて漫画の中で、『あなたは悪くない』と言ってあげて、自信を取り戻してほしかったんです」 ■自分の好きなものが勇気をくれる 幼少期のトラウマから、自分が好きな色やかわいいと思うものに触れることはできないと涙するユキオに対し、「あなたの好きなものを選んでいいのよ」と語りかける加恋。そしてピンク色のストールを「あなたに似合うもの」とプレゼントする。このときの自己肯定感がフワリと上がるユキオの表情が、とても印象的だ。 「好きな色を身に着けていると勇気がわいてくる」と言うユキオのように、蒼乃シュウさんも好きなものから力をもらっているそう。 「小さいころからかわいいものが好きで、近所のファンシーショップに入り浸っていました。今でも雑貨屋さんを見かけると、必ず入ってしまいます。高価なものではないけれど、食器や家具など部屋に置いてある身の回りのものは、すべて私が『好き』だとときめいて選んだものばかり。だから自分の部屋にいると、すごく幸せです」 ピンク色のシャツを着て、自分らしく生きるための自信を取り戻したユキオ。彼が恋愛できる日も近いのかもしれない。次回は加恋の元に、どんな訳アリ客が訪れるのだろう。今後も楽しみにしてほしい。 取材・文=石川知京