存続の危機だった秋田銀線細工「おばあちゃんのアクセサリーだった」伝統的工芸品を絶やさない「TOUROU」の挑戦
小川さん:ひとつずつ手作業で作る完全受注生産だからこそ、お客様のオーダにも寄り添えます。例えばピアスをイヤリングに変更する、ネックレスの長さを少し変えるといったカスタマイズにも対応できます。
■「TOUROU」を通じて、全国の人に秋田のことを知ってもらいたい ──小川さんにとって、秋田銀線細工の魅力は? 小川さん:熟練した職人技によって作り出される、緻密で繊細で美しい銀線の模様です。レースのようで本当に美しいんです。そして経年変化が楽しめるところ。新品の頃は白銀で光り輝いていて平面的に見えるのに、経年変化で変色していくと立体感が生まれます。味が出てアンティークっぽくなるので、味が出た方が好きとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。
──最後に今後の目標を教えてください。 小川さん:「TOUROU」をきっかけに、秋田のことを全国の人に知ってもらいたいです。次のコレクションのデザインは、秋田の山である鳥海山をモチーフにしていますし、秋田の川連漆器と秋田銀線細工を組み合わせた指輪やネックレスも用意しています。秋田銀線細工を軸にしつつ、知られてない素晴らしい伝統工芸品って全国にたくさんあると思うので、いずれ別の伝統工芸品も手掛けるのが当面の目標です。
PROFILE 小川晴香さん 1984年生まれ。秋田県出身。大学卒業後、航空会社勤務を経て、ファッション業界へ。国内外のファッションブランドのPRを多数手掛け、フリーランスのPRへ転身。2022年より秋田銀線細工のブランド「TOUROU」の代表兼デザイナーも務めている。 取材・文/津島千佳 写真提供/小川晴香
ちゃんと 編集部