ランドローバー・レンジローバー vs キア・ソレント 上昇続く高級感と洗練度 新車か中古車か?(3)
洗練度で並ぶキア V8サウンドに魅了される
発進させてみると、運転のしやすさや洗練度で、2台には明確な差がないことへ驚かされた。転がり音や風切り音は最小限。プラグイン・ハイブリッドのソレントは、高負荷時のみにエンジン音を車内へ届ける。 この世代のレンジローバーにも、ハイブリッドは存在する。もし選択すれば、約50kmを電気だけで走行でき、充電状態では14.0km/L以上の燃費を得られる。他方、ソレントはディーゼルも選べるが、レンジローバーのようにV6やV8エンジンは用意されない。 今回のクルマのボンネット下には、5.0L V8スーパーチャージド・ユニットが収まっている。燃費が良いわけではないが、余裕のあるパワーで走りは安楽。V8らしいサウンドに、思わず魅了されてしまう。 エンジンの種類に関係なく、レンジローバーは快適で落ち着いている。ソレントが平穏を乱すような路面でも、ストロークの長いエアスプリングが巧みに衝撃を吸収し、路面から隔離してくれる。 姿勢制御も素晴らしく、郊外の空いた道を飛ばす時、レンジローバーが最高のSUVだということを実感させてくれる。かたや、ソレントのサスペンションは硬めで、姿勢制御がタイト。旋回時のボディロールは小さい。
英国流の上質さと幸福感へ浸りたい
と、ここまでは甲乙つけがたい2台だが、信頼性で開きが出てくる。古いレンジローバーの信頼性が高いとはいえないことは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。メーターパネル内の警告灯が点くことは、珍しい出来事ではない。 ただし、新車のソレント並みの予算を準備するなら、しっかり整備を受けたランドローバーの認定中古車を選べる。比較的新しいレンジローバーへ、1年の保証を付けてくれる。キアの7年保証より短いものの、リスクを多少でも軽減することは間違いない。 冷静に考えれば、ソレントに劣る部分はない。レンジローバーの8・9割程度の性能や快適性を備えつつ、長期的な維持費は抑えられる。信頼性の心配も小さくて済む。 それでも、筆者が選ぶなら先代のレンジローバーだ。幸運を祈りながら、じっくり品定めすれば良い。唯一といえる、英国流の上質さと幸福感へ、浸りたいと考えてしまう。