イエレン財務長官、ベッセント氏との対話明かす-財政状況は「遺憾」
(ブルームバーグ): イエレン米財務長官は10日、トランプ次期大統領が政権2期目の財務長官にスコット・ベッセント氏を指名すると発表したのを受け、ベッセント氏と先に対話の機会を持ったことを明らかにした。
イエレン氏は、ベテランのヘッジファンドマネジャーであるベッセント氏に対し、財務長官の職務の幅広さや財務省職員の有能さについて米感謝祭前の電話で話したと説明した。それとは別に、米連邦準備制度の独立性への侵害や広範な関税引き上げを巡りあらためて警告し、財政状況について遺憾の意も表明した。
イエレン氏は「ベッセント氏の指名に祝意を示し、非常に興味深くやりがいのある仕事だと思うだろうとの考えを伝えた」と述べた。
また、財務省職員は「分析力に優れ、有能でプロ意識が高く、極めて誠実に業務に取り組み、信頼できる分析結果を導き出す」として、これは特に米国債市場などの金融市場や経済にとって重要だと語った。
米金融当局の独立性
イエレン氏は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のイベントで質問に答えたもので、政治的干渉を受けることなく連邦準備制度が運営されることの重要性を強調した。
イエレン氏は「研究結果で示され、私の経験からも確かなことだが、中央銀行が政治的影響を受けることなく最善の判断を下せる状態のままなら、インフレだけでなく、雇用創出や経済成長といった面でも、国家の実際のパフォーマンスは向上する」と指摘した。
大統領が連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任できるかどうかを巡っては、解任できるのは正当な理由がある場合に上院がそうした決定を下した場合に限られるというのが自分の理解だとイエレン氏は語った。
一方、自身の任期中に財政赤字の削減が思うように進まなかったことについては遺憾の意を表明。「財政の持続可能性を懸念しており、もっと前進できなかったのは残念だ」とした上で、「特に今は金利が高くなっている状況にあり、財政赤字を削減する必要がある」との考えを示した。