唾を吐きかけられることも…タクシー運転手のカスハラ問題、ライドシェア解禁、オーバーツーリズムの影響を運転手に聞いた【8月5日はタクシーの日】
シートを蹴飛ばすような外国人観光客はいない
――4月からタクシー事業者の運行管理のもと、一般ドライバーが自家用車を使って有償で送迎する「ライドシェア」が始まりましたが、その影響は感じますか? 早乙女 いまのところほぼ影響はないと思っています。 前田 自分は「一般車に乗るのはちょっと怖い」と話すお客様が多いように感じます。海外では普及しているようですが、日本でどうなるのかはこれからだと思います。 ――さまざまなところでオーバーツーリズムの問題が生じていますが、言葉の問題も含めてトラブルになったことはありますか。 前田 港区・千代田区・中央区をメインにしているからか、観光客は1日1~2組程度ですし、外国人のお客様はみなさん正確に住所を教えてくれますから、あとはナビ通りに行くだけです。 早乙女 「シートベルトをしてください」と「目的地はどこですか?」という2つの言葉だけ覚えていれば、ほぼ大丈夫。ナビ通りに行けばまずトラブルにはなりません。 言葉が障害になったことはないですし、ルートが違うと文句を言ったりシートを蹴飛ばしたりする外国人の方はいないので、むしろありがたいなと思っています。 ――外国のかただとチップをもらえたりは? 早乙女 日本に来る外国人の方は、“日本ではチップは必要ない”ということを勉強してくるみたいで、チップをいただいたことはないですね。むしろ日本人のお客様のほうが、「これで飲み物でも買って」と、チップをいただけることが多いです。 ――都内では“なかなかタクシーに乗れない”という声があったり、各社が普及させた配車アプリの普及で、乗務する環境が大きく変わっていると思いますが、実際に変化はありますか。 前田 それもあまり感じないんですよね。いまでも流しが一番多くて、タクシー乗り場がその次で、配車アプリは全体の2割くらいです。酷暑もあって、お客さんをたくさんお乗せする日もあるのですが、お客さんがいないなーという日もありますし…。 早乙女 一度だけ雨の日の金曜日にお乗せした38組の内、30組が配車アプリのお客様だったことがあって、“すごい人気者になっちゃったな”と思ったことはあります(笑)。でも平均すると、アプリはやはり全体の2割くらいですね。基本的には流しでお客様を探しています。
【関連記事】
- 「1年目で月収50万」「入社祝いに株をもらえる」「好きな時に休める」変わるタクシー運転手業 “おじさんの終の仕事”から、“若者に魅力的なスマートな仕事”へ…それでも辛い瞬間とは【タクシーの日】
- <電動キックボード違反者講習の実態>「ほとんどがチャラい私服姿の若者、和彫りの刺青男も…」参加者は「名前でなく番号で呼ばれた」「運転免許証の違反者講習よりよどんだ雰囲気でした」
- 急速な展開を見せる「日本版ライドシェア」の全面解禁に、タクシー業界からは猛反発。普及への最大の課題は「地域住民への説明不足」にあり?
- 「最初は家族にもいえなかった…」ー若手女性タクシードライバーのやりがいと葛藤
- 「こんなに稼げるなんて…」増える四大卒タクシードライバーの本音