フォルクスワーゲン 内装デザイン、批判受け全面刷新へ 物理ボタン復活
タッチスクリーン中心から方針転換
ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、内装デザインを刷新し、物理的なボタンやコントロールを再導入する。コンセプトモデルの「ID.2all」のデザインを市販車に発展させていく方針だ。 【写真】VWの内装、何が「ダメ」だった?【新型ID.2allコンセプトと現行型ゴルフの内装デザインを比較】 (26枚) 最新世代のゴルフやID.3で採用されたタッチスクリーンを多用する内装デザインは、顧客に不評であることが判明し、全面的な転換を迫られることになった。 特に欧州では、エアコン用のコントロール・スライダーはバックライトがないため、夜間の操作がしづらいとの指摘が相次いだ。ステアリングホイール上のハプティック(触覚)ボタンもいい評価を得られなかった。 フォルクスワーゲンのトーマス・シェーファーCEOは最近、こうした批判を受け、タッチスクリーン中心のレイアウトはブランドに「大きなダメージを与えた」とコメントしている。 同社のインテリアデザイナーであるダリウス・ワトラ氏は、ID.2allコンセプトは「すべてのモデルに対する新しいアプローチを示すもの」であり、「顧客からのフィードバック」に応えるものだと述べた。 ID.2allでは、エアコン用の物理的(バックライト付き)なボタンが並び、センターディスプレイの操作用としてセンターコンソール上にBMWのiDriveのようなロータリーコントローラーが置かれている。 ワトラ氏は、「欧州の顧客は他のグローバル市場とは異なる見方をしており」、「より多くの物理的ボタン」を望んでいると述べた。
内装材や収納能力にも注力
フォルクスワーゲンは硬質プラスチック、接着剤、レザー、クロームを段階的に廃止しようとしており、素材の使用という点でも大きな変化が起きている。ID.2allでは、持続可能性を推し進める一環として、ファブリックとアルカンターラをミックスしたソフトな手触りの素材を全面的に使用している。木材や金属の使用も制限される。 ワトラ氏は、ID.2allをベースとする市販車(ID.2の名称を引き継ぐ可能性は低そうだ)の導入時期である2025年まで、できる限り多くの機能と素材を検討したいと述べた。 この市販車は2万5000ユーロ(約390万円)以下の価格を目指しており、高級感のある素材の使用は限定的かもしれない。 ID.2allのスクリーンは、初代ゴルフを再現したレトロなグラフィックなどさまざまな表示テーマを選択することができるが、この機能は市販車にも導入される見込みだ。 また、リアシートの座面下には50Lの収納スペースがあり、トランク(440L)の床下にも大型の収納スペースが備わるなど、高い収納能力の実装も期待されている。 ドアハンドル、グラブハンドル、アームレストを一体化したドアなど、部品点数の削減を図っている点も特徴だ。
マーク・ティショー(執筆) 林汰久也(翻訳)