トヨタ、ホンダでも発覚。止まらぬ認証不正の連鎖、ルール破りは論外だが制度の見直しは必要
■現場の負担、認証制度の軽視 会見を開いたトヨタ、ホンダ、マツダの説明から見えてきたのは現場の負担増や認証制度の軽視だ。 トヨタの豊田会長は「原因は1つではない」としたうえで、「最終試験で問題が発覚しても短い納期でやり直す。そこで負担が発生したのでは」と認証部門へのシワ寄せが発生していたとの見方を示す。カスタマーファースト推進本部・宮本眞志本部長は「認証という意識が少し薄かったというのは否めない」と話す。
ホンダも現場における制度への認識が足りていなかったといい、三部社長は「再テストをできるだけやりたくないという思いがあったと思う。完全に順法意識が逸脱欠如していた」と釈明する。マツダの毛籠勝弘社長は「業務手順で足りない部分があり、それを現場の判断で補う仕事をさせてしまった」と話す。 グループの責任者としての役割を果たすとしている豊田会長を含めて、会見を開いた3社は経営責任について具体的な言及はなかった。ホンダの三部社長は「(不正が)現在起きておらず、経営陣の責任は考えていない」、マツダの毛籠社長は「現時点で言及するのは時期尚早だ」と言うにとどめた。
ある自動車メーカー幹部は「結局、一部の会社ではなく、全部の会社が不正をやっていたということだ」とため息をつく。あるトヨタ元幹部は「当然出ると思っていた。隠し切れるものでもない」と話す。 ■制度の見直しに取り組む必要性 国交省は6月4日、道路運送車両法に基づきトヨタ本社に立ち入り検査に入った。関係者への聴取や書類の解析を通じて、不正の経緯や原因、悪質性を調査する。トヨタやマツダでは生産中の車両で不正が確認されており、結果によっては型式指定の取り消しなど重い処分が下る可能性もある。
国交省はダイハツに対し是正命令を発出、3車種の型式指定を取り消したことで生産できない状況になり販売店や部品メーカーに影響が出た。国交省幹部は「まだ何も言えない。実際に調査をしてからだ」と話す。 今回発覚した不正の中には認証制度より厳しい条件で試験を行っていたものも含まれている。だが、認証制度は日本の自動車が安全であると証明する根底のルール。それを勝手に破ることは許されない。必要なら業界を挙げて制度の見直しに取り組むのが筋だ。安全性や高品質を強みとしてきた日本車ブランドそのもののあり方が問われている。
横山 隼也 :東洋経済 記者/秦 卓弥 :東洋経済 記者/村松 魁理 :東洋経済 記者