玉木宏、『のだめ』から10年 新しい自分で、千秋先輩のイメージ塗り替えたい
1998年にドラマ「せつない」でデビュー以来、今年で俳優生活20年を迎える玉木宏。非常に数多くのテレビドラマや映画に出演し、最新映画『悪と仮面のルール』でも、悪の心“邪”を持つことを宿命づけられ葛藤する主人公を好演。俳優として波に乗っている印象を受けるが「現時点でも全然できていない。もっと自分のイメージを壊していかないと」と自己評価は厳しい。そこにはどんな思いがあるのだろうか――。
「まだまだ半端」自身のキャリアに警鐘を鳴らす
玉木といえば、デビュー3年目に出会った映画『ウォーターボーイズ』や、連続ドラマ・映画化もされ大ヒットした『のだめカンタービレ』シリーズなど、節目節目で代表的な作品に巡り合い、年齢とともに役柄の幅も広がり、順調に俳優としてのキャリアを積んでいるように思われるが「まだまだ半端。自分をもっと壊して、もがきながら役を演じていかなければいけない」と自身のキャリアに警鐘を鳴らす。 非常にストイックな感じを受けるが「やはりほかの映画や舞台を観ていても『うまいな』と思う人はたくさんいます。この世界、立場にあぐらをかいていたら、どんどん落ちていくだけ。いまは時代も変わってきていて、映画やドラマの在り方自体も変化しています。自分も変わっていかないといけないんです」と強い視線で語る。 デビュー当時からこうした危機感を持っているのかと問うと「正直20代は俳優という仕事を続けていくために安定を求めていましたが、この世界で20年近くやらせていただくと、『安定なんてものはない』と身にしみて感じます」と苦笑いを浮かべる。 こうした考えにたどり着くまでの俳優人生とはどんなものだったのだろうか。玉木は「やはり『ウォーターボーイズ』は一つのターニングポイントにはなりました」と当時を振り返る。
『ウォーターボーイズ』で得たこと
「デビューから3年ぐらい経ったときに出演した作品なのですが、それまでは、演じることがなにかもわかっていませんでした。そんななか、この映画はオーディションの条件が“水泳ができる人”だけだったんです。なんのことかわからず現場に入ったらシンクロだったんです。泳ぐこととシンクロは全然違うので、そこからみんなで合宿して、一つのものを形にしていくのですが、演じる人だけではなく、多くのスタッフの方と過ごした日々で、映画作りというものを学べました。しかも、こうして完成した作品が多くの方に観ていただけて、その後自分自身も仕事が増えていったんです。このときは『このまま波に乗り、安定して俳優を続けていけたらいいな』と思っていました。それが生きるすべだと思っていたんです」