PG1「クイーンズクライマックス」5日目・蒲郡ボート 細川裕子、会心の1着で難解な勝負駆け制す「調整が芯食った」
◇30日 PG1「第13回クイーンズクライマックス」5日目(愛知県・蒲郡ボート) 波乱の進入、ではない。百戦錬磨の細川裕子(43)=愛知=は、枠番抽選後の前夜からこうなると読んでいた。平高の前付けにも慌てずスローを明け渡して4カドに引くと、コンマ14のSからまくり一撃。会心の1着で難解な勝負駆けを制した。 「ダッシュ戦は想定内。3カドにする覚悟もありました。外のおかげですね。(宇野)弥生ちゃんがしっかりSを行ってくれたんで」 今年8月のレディースチャンピオン(福岡)では優出4着。そのスピードと卓越したハンドルさばきは、女子選手の中で屈指のレベルを誇る。しかし、長年女子戦線のトップ層をにぎわせながら、G2以上のタイトルはいまだない。実力的にはいつ取ってもおかしくないのに、なぜか取れない。無冠の女王―。細川にとっては不本意この上ない異名だが、その実力と大舞台での巡り合わせの悪さを言い表すのに、これほど分かりやすい表現はない。 手応えを感じながらも引き出せずにいた舟足にも、ついに正解が出た。「調整が芯を食った。かなりいいと思います」。大一番を前に1号艇で迎え撃つ遠藤の鬼足に対しても「十分に勝負できる足」と自信をのぞかせた。 「地元で走らせてもらえるだけでも感謝しかない。結果で恩返ししたいです」 内枠にそびえる高い壁。それでも、この水面なら届くかもしれない。この手でつかめるかもしれない。長年追い求めた冠が今、目の前にある。もう無冠の女王とは呼ばせない。初のプレミアムG1タイトル。そして夢にまで見た、黄金のティアラ戴冠へ―。地元蒲郡が、その舞台だ。
中日スポーツ