バスケット不祥事の背景に日本協会の杜撰な管理責任も
今回の不祥事は、東京五輪出場を狙う日本にとっても大きな痛手となった。これまでの日本のバスケットのレベルが低いため、国際バスケット連盟(FIBA)は、日本の開催国枠出場をまだ認めていない。実力をアピールするためには、現在、アジア予選を戦っているワールドカップ出場とBチームで臨んでいるとはいえアジア大会の成績も重要だった。 三屋会長は、今回の不祥事をFIBAに報告。「アピールの場をひとつ失った」と沈痛な表情で語った。今後、日本協会は、弁護士3人による裁定委員会を立ち上げ、その答申を元に9月上旬には協会としての処分を下す予定だという。 ただ三屋会長は4人に再起の道を残すことも明言した。 「彼らをつぶすためにここに呼んだわけじゃない。今後、敗者復活の機会を作ってあげたい」 だが、不祥事を起こした4人は、今後については答えることができなかった。 最も年長で、この日の会見では、率先して経緯を説明していた永吉は「なぜこうなったかパニックな状態で、頭が整理できない。今はドン底の状態」と頭を抱えつつ、JOCの山下泰裕団長から「人生七転び八起きだ」との励ましの言葉をもらったエピソードを伝え「その言葉を胸にできることをひとつひとつやっていきたい」と語った。 佐藤は涙ぐみながら「今はバスケット人生を考えることができない。再生に値する人間かどうか。そういう人間じゃない。今は申し訳という気持ちしかない」と頭を下げていた。 Bリーグが立ち上がって2年。まだ本当のプロの自覚が植え付けられていない現状と、バスケットとは畑違いの人間をバレー界からトップにすえただけの杜撰な協会のガバナンスが浮き彫りになった。三屋会長が今回の不祥事が起きるまで知らなかったことが目立ち、どこまで組織運営に関与してきたか、にも疑問が残る。ここまで分裂していた団体が、川淵三郎氏の強烈なリーダーシップで急激にまとめられた組織の脆弱さが生み出してしまった事件だったのではないだろうか。 最後に。会見は質問に時間制限などが設けられなかったが「同時間に行われているアジア大会の他競技に迷惑をかけたくない」との理由で、会見のライブ配信を行わないように各社への「お願い」があった。それならば、競技のテレビ放送に重ならない時間帯に会見を設定すればいいだろう。 自らの団体が派遣した選手の不祥事の会見を「ライブ配信をするな」という異常な要請が出ることで、この組織の危機管理能力の欠如もよくわかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)