「いろんな壁にぶち当たってます」オランダ2年目で躍動する上田綺世が本音で明かした“進化のカタチ”。「一回やって一回できたことは薄っぺらい自信」【現地発】
「山ほど失敗して、思考する回数を積み重ねてきた」
昨季、上田は「練習したことがないことも、試合に出ることもある。しかし、その確率を上げるためにはやはり繰り返し練習するしかない」と言ったことがある。そのことを思い出しながら、彼は説明を続けてくれた。 「練習で失敗を重ねながら成功することによって、自信を持って試合でプレーできる。そうすると試合で成功しやすいですよね。それは自信を持ってプレーできるというポジティブな面があるということだけであって、『練習でやってないことが試合に出る』こともある。だけど『一回やって一回できたことは薄っぺらい自信』ですよね。要はその自信が崩れるのも早い。一回やって成功して、二回目失敗したら50パーセントじゃないですか。しかし30回やって20回失敗したけど10回成功したら、その思考回数が多いぶん、自分のなかではそれを確実に成功できる確率を上げられる。それがプレー中の自信になります」 ――だから継続してプレーすることが大事なんですね。 「そうです。だから僕は常に『継続、継続』と言い続けるじゃないですか。それは成功しても失敗してもやり続けて、数をこなして成功を掴むしかないんですよ。それはフェイエノールトに来て僕が求められた違うスタイル――例えば、(トゥベンテ戦のように)ああやって顔を出して受けて、クサビからもう一回動き直してゴールを決めるとか。 今も失敗はありますけど、去年に比べるとマークの背負い方とか、味方とのアイコンタクトの受け方とか、いろいろと試行しながら数回成功して、それを何回もやって自分の形になって、自信を持ってボールを受ける方法ができてきて、それが自分のスタイルになって、それが自信になる。その連続かなと僕は思ってます」 控え選手が陥りがちな罠について、「自分はヘディングが強い、自分は動き出しがいいから、それをアピールして試合に出るんだ」という思考になりやすい、と上田はいう。しかし、チームがそのポジションの選手に求めているものが違うからこそ、出場時間が限られるのだろう。 「チームから求められてるものとか、自分がそれでは足りないということに早く気づいて、いろんなことに挑戦するんです。『失敗すると試合に出られない』と思うのは自然ですし、いっぱい時間はかかるかもしれないけど、いろいろトライして自分に肉づけして、選手としての幅と自信をどんどんつけて、いろんなプレーができるようになっていかないと、選手としての成長はないじゃないですか。 『僕はドリブルが武器。今は試合に出られないけれど、いつか認められてそれで勝負するんだ』となっても、もう一個ステップアップしたら同じ悩みにまたぶつかるじゃないですか。僕はフェイエノールトに来ていろんな壁にぶち当たってます。だからこそ継続とスタイル。自分の幅を広げるためのトライ・アンド・エラーを続けて自分の形にしていく。それがやっぱり自分の肉としてついて、選手としての幅になる。山ほど失敗して、思考する回数を積み重ねてきたから、1年前と違って今はいろんなスタイルを持ってプレーできている。それが去年とはまったく違う結果とパフォーマンスになってるのかなと思います」
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