「いろんな壁にぶち当たってます」オランダ2年目で躍動する上田綺世が本音で明かした“進化のカタチ”。「一回やって一回できたことは薄っぺらい自信」【現地発】
いま、「上田綺世2.0」が誕生を迎えようとしている
もうひとつ、上田に聞きたいことがあった。NAC戦で今季のオランダリーグ初ゴールを決めた上田は、珍しく感情を爆発させて喜んだ。それは、フェイエノールトで、もがきながら苦しんできたことからの解放だったのか。 「そうですね。あの試合でサンティ(サンティアゴ・ヒメネス)が怪我をしちゃいました。その前に(ブライアン・プリスケ)監督のなかではどっちをスタメンで行くのか悩んでくれた試合があったんです。僕としてはサンティが怪我しちゃったのは残念だし、お互いにしっかりプレーできる状態で僕が出られればもっと良かった。でも、彼が怪我してしまって、自分にようやく回ってきたチャンス。自分にはゴールが必要だった。 自分はいま、自信を持ってプレーしているけれど、出場時間が足りなかった。やっぱりここでひとつ結果が必要というタイミングでゴールを取れた。それは自分が積み重ねてきたことがうまく繋がって形になった瞬間だった。普通に自分がずっとプレーしながら取るゴールよりも、僕のなかでは価値があったし嬉しかった」 期せずして隣の記者会見場では、プリスケ監督が「上田にはもっと自信が必要。日本代表で見せているパフォーマンスがフェイエノールトでも発揮できるように、我々も取り組んでいる最中だ」と語っていた。 ヘディングと裏抜けを武器にしたストライカーは、セルクル・ブルージュで強度の高いプレーを付け足し、今はオランダ式のポストプレーを肉づけした。こうして上田はプレーの引き出しの多いストライカーになった。 いま、「上田綺世2.0」が誕生を迎えようとしている。もし日本代表のテクニカルスタッフから「綺世、9月シリーズではDFを背負ったプレーで貢献してくれたけれど、サウジアラビアとのアウェーゲームでは相手の背後にスペースが生まれる時間帯があるはずだから、この試合は今までやってきた裏抜けをメインに狙ってくれ」と要求されたら、それに応える準備はできている。 取材・文●中田 徹
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