日銀短観(12月調査)で景況感は小幅改善か:2024年日本経済は「内憂外患」。賃上げは期待に届かず日銀政策修正は後ずれへ
日銀のマイナス金利政策解除は後ずれ
その際には、イールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化と同様に、副作用を軽減することで金融緩和の持続性を高めることが目的、と対外的に説明するだろう。事前に市場との対話に十分な時間をとる必要があることもあり、マイナス金利政策解除の時期は2024年4月ではなく、2024年10月など、年後半以降にずれ込むと見ておきたい。 さらに、日本銀行の政策修正を大きく制約する可能性があるのは、米国経済の減速と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げである。この先、米国経済の減速が明確になれば、FRBは2024年前半にも利下げに踏み切ることが予想される。FRBが利下げを実施する中、あるいはそうした観測が金融市場で強い中では、日本銀行はマイナス金利政策解除など本格的な政策修正を行うことは難しい。それは、急速な円高を生じさせ、経済や株式市場に大きな打撃となってしまうからだ。 米国経済の減速が比較的マイルドに終わり、FRBの利下げが2024年半ば頃までで一巡すれば、日本銀行は2024年10月など年後半にマイナス金利政策解除に踏み切ることができるだろう。しかし、米国経済の減速がより深刻となり、2024年いっぱいFRBの利下げが続くよう状況となれば、日本銀行のマイナス金利政策解除は2025年にまで後ずれするだろう。 現在の金融市場の見方よりも、日本銀行の政策修正は後ずれの方向にリスクがあるものと見ておきたい。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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