<The追跡>アマゾンのメールを入手 出品者が語る“値下げ強要”の実態は【WBS】
入手したメールに書かれた内容
テレビ東京は別の出品者へアマゾンから届いたメールを入手しました。そこには「他社の小売サイトにおける価格と比較して競争力のある価格が設定されていない」「価格の見直しを行うことも一つの効果的な方法」などと書かれていました。 この出品者は2023年11月、同じ商品を楽天市場でアマゾンより低い価格で販売していました。すると突然、カートボックスが表示されなくなり、このメールが送られてきました。 さらに競争力のある価格として、本来より100円ほど安いアマゾン側が指定した金額が書かれていて、その下の「価格を更新」という表示を押すと自動で指定価格に引き下げられたということです。このメールは公正取引委員会にも提出されました。 ある関係者は「去年の夏頃から一斉に送られてくるようになった。アマゾンが怖くて従うしかなかったが、公取がようやく動き出してくれた。これでこの問題が解決してくれるとうれしい」と話します。 アマゾンのこうした対応は正当な価格交渉と言えるのでしょうか。独占禁止法に詳しい慶應義塾大学の渕川和彦准教授に聞きました。 「(メールは)おすすめ出品として掲載されるために『この価格でなければ表示はできない』とある意味、条件付けている。独禁法上では対等な交渉ではなく『不当な拘束』に該当しうる」(渕川准教授) 渕川准教授は独占禁止法が禁じている拘束条件付き取引に当たる可能性があると指摘。またアマゾンは通販サイト市場で支配的地位にあることから、こういった要請は優越的地位の乱用に当たる可能性もあるといいます。 「プラットフォーマーと出品する業者との関係が対等になっていくためには、何が必要なのでしょうか」(大江麻理子キャスター) 「取引の透明性をまず高めることが大事。出品価格が減額されると、何に跳ね返るかと言うと商品の質とかに跳ね返ってくる。競争を促進しながらも、競争環境をウオッチ(監視)しないといけない」(渕川准教授) この問題についてテレビ東京はアマゾンジャパンに対して、メールについての事実確認など7つの質問を送りました。するとアマゾンジャパンからは「公正取引委員会の調査に、全面的に協力してまいります」と回答がありました。 通販サイトの事情に詳しい「エバン」の川添隆代表は、国内の通販サイト市場にはアマゾン、楽天、ヤフーに加え、中国のSHEIN(シーイン)など他の企業が続々と参入してきている。競争が激しくなる中で、出品者にしわ寄せがいっているのではないか」と話していました。 ※ワールドビジネスサテライト