老後、頼れる人がいない「おひとりさま」老人ホーム入居や入院、どうなるの?
「成年後見制度」とは
おひとりさまが老後について少しでも安心するために知っておきたいのが「成年後見制度」です。 成年後見制度とは知的障害、精神障害、認知症などで一人で決めることや手続きを行うことに不安を感じる人が契約や手続きの際にサポートを受けられる制度です。 例えば、認知症で保険料や税金の支払いを行ったかどうかすぐに忘れてしまう場合、お金の出し入れをサポートしてもらえます。 あるいは、介護支援を受ける際には手続きや契約の支援をしてもらうことも可能です。 成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」に分けられます。 「法定後見制度」は家庭裁判所が成年後見人などの選人を行い、その権限も法律で定められているのに対し、「任意後見制度」は本人が任意後見人や権限を決められます。 成年後見人には主に以下の行為が認められています。 ・本人の預貯金管理 ・本人名義の居住用不動産の管理・処分 ・保険金の受取 ・相続手続き ・施設の入所・退所の手続き ・病院の入退院などの手続き ・介護保険の手続き ・生活保護の申請 ・家賃・光熱費の支払い
おひとりさまは老人ホームへの入居や入院はできるの?
結論を先に述べると、おひとりさまは老人ホームへの入居も入院も「可能」です。 例えば、前述の「成年後見制度」を利用している人であれば、老人ホーム入居の際に身元保証・手続きなどで求められる役割の多くをこの制度によってカバーできます。 ただし、成年後見人は「保証人」の役割は果たせません。老人ホームの入居にあたって保証人がどうしても必要な場合は「保証会社」を利用することになります。 頼れる人も成年後見人もいない場合は、地域の包括支援センターや介護支援の窓口などに状況を説明することで、現在の状況で受け入れてもらえる施設を紹介してもらえることもあります。 入院については、診察に従事する医師が診察治療を求めた人に対して身元保証人・身元引受人がいないことのみを理由に拒否することは、医師法19条1項に抵触するものとされています。 また、病院は身寄りがない人の入院にあたって市町村や社会福祉協議会などと連携することもあります。 ただし実際問題として、身寄りがないことを理由に受け入れを断る病院もなきにしもあらずであるため成年後見人がいると安心です。