Ａ・Ｊ・ヒンチ監督（AP）

◇２日（日本時間３日）　ア・リーグ　ワイルドカードシリーズ第２戦　アストロズ２―５タイガース（ヒューストン） 　ア・リーグ中地区３位で初戦で勝っていたタイガース（第６シード）は敵地の第２戦で同西地区１位のアストロズ（第３シード）に逆転勝ち。連勝の『下克上』で１１年ぶりのポストシーズン（ＰＳ）シリーズ勝ち越しを果たし、ガーディアンズ（第２シード）が待ち受ける５回戦制の地区シリーズに駒を進めた。 　１勝１敗のタイに戻せば第３戦に先発予定だったアストロズの菊池雄星投手（３３）は、試合開始直前からブルペンで緊急登板の準備をしたが、ＰＳの出番なく２０２４年のシーズンを終えた。 　最後の打者デュボンが力のない二ゴロに倒れると、タイガースナインは一斉にマウンド後方へダッシュ。歓喜の輪をつくってジャンプし、全米中継局ＡＢＣのマイケル・ケイ実況は「Ｍｏｔｏｗｎ　ｍａｇｉｃ　ｃｏｎｔｉｎｕｅｓ（自動車の街デトロイトの魔法は続きます）！」と叫んだ。 　Ａ・Ｊ・ヒンチ監督（５０）は、古巣相手の『甘い復讐（ふくしゅう）』を完遂した。２０１５～１９年にアストロズの監督を務め、ＰＳ進出４度、ワールドシリーズ進出２度。１７年は球団史上初の世界一も達成した。だが、１７年にチームぐるみでサイン盗みをしていたことが２０年に発覚し、解雇。同年に大リーグ機構から１年間の出場停止処分も科された。 　２１年、それまで４年連続負け越しと低迷するタイガースの指揮官としてグラウンドに戻って来ると、４年目にして因縁の相手に『恩返し』。同局のヒーローインタビューで「古巣を撃破しましたね」と振られた指揮官はニヤリと笑い、「野球はグレートだよね。信じられないよ」。また、試合後は「タイガースの一員でいることを永遠に感謝する」と語った。 　アストロズは、これでリーグ優勝決定シリーズ進出が７年連続でストップ。米テキサンズカウンティーは「Ａ・Ｊ・ヒンチ。アストロズ王朝を創り上げ、そして終わらせた男」と報じた。 　監督としてワールドシリーズ優勝を果たした古巣の対戦相手を率いてＰＳで激突したのは、ヒンチ監督が史上３人目。他は１９８１年アスレチックスのビリー・マーチン監督（リーグ優勝決定シリーズでヤンキースに０勝３敗）と、２０１６年インディアンス（現ガーディアンズ）のテリー・フランコナ監督（地区シリーズでレッドソックスに３勝０敗）がいるだけだ。