黒鷲旗バレー・JT女子が連覇 吉原監督「自信につながる」
トモさん(吉原監督)になってチームが変わった
吉原監督が監督に就任したのは昨年6月。「トモさん(吉原監督)になってチームが変わった」。選手は口々にそう話す。当時のチームは「自信がない感じだった」という。無理もない。V・プレミアリーグで頂点に立ったことのあるチームが(2010/11シーズンに創部以来初優勝)、2013/14シーズンで振るわずチャレンジリーグに降格、翌2014/15シーズンでも昇格を果たせなかった。就任はそんな時期だったからだ。 「コートに来るときは覚悟を決めてきてください」。まず取り掛かったのは自信を回復させること、そして強いメンタルを作ること。練習内容も変えた。 「技術はメンタルで支えるもの。フィジカルとメンタルの両面が大事」。選手には「できるからできるから」と言い続けた。「トモさんには『心がない心がない』『自信を持ちなさい』とメンタルのことをすごく言われました。それで強くなり、負けそうなときでも勝てるようになって、チャレンジリーグで全勝し、昇格もできた。ついていってよかったと思いました」と日本代表メンバーの田中瑞稀もそう話した。
「きつくなった」練習も厳しい6連戦の支えに
今大会でも先にマッチポイントを握られる場面が数回あった。ミスを出し崩れかける場面もあった。しかしそんなギリギリの場面でも全員でつなぎ、ミスの尾を引くこともなく切り替えた。「競り合いを勝てるようになった。最後まで戦いぬく精神的スタミナがついてきた」と吉原監督も手応えを感じていた。 「きつくなった」という練習も6連戦という厳しい状況の支えになった。「フルセット続きできつかったけど、これまでやってきた練習のほうがきついから大丈夫と思った」と位田。疲労がたまってきた準決勝前のミーティングで吉原監督が言った言葉も選手の心をほぐした。「私の経験から、疲れているほうが、力が抜けていいプレーができることがあるよ。だからとにかくハードワークして。倒れるなら終わってからじゃなくコートの中で倒れなさい。倒れたら私が引きずって出してあげるから」。そう言うと選手たちは、爆笑したという。 来季は3シーズンぶりにプレミアで戦う。狙うのは「V・プレミアリーグの頂点」だ。「この黒鷲の優勝は(その目標に)大いにつながると思います。プレミアで勝つために技術面をもっと上げていきたい」とキャプテンの奥村麻依。「一人ひとり強くなってきているし、うまくなってきている。最終的な目標はV・プレミアリーグのトップ。トップを争えるチームになっていけるように頑張りたいです」と田中美咲。 選手時代には日本代表として3度五輪に出場、所属した全てのチームで優勝を経験しているが、「私はまだ監督の『か』の字も分かっていない。(プレミアのトップになるには)もっと自分も経験を重ねていかないと。これからです」と吉原監督はそう気を引き締めた。 一つ自信を得て、さらに強くなったJT。またここから新たな挑戦が始まる。