今永昇太30歳「ナゾの人物像」先輩に辛辣発言、いたずらパンツをはいて「ファイヤー!」と叫ぶ…DeNA山崎康晃が明かす“強烈エピソード”
8回無失点でも「反省」の真意
もう一つ、左腕の特異な一面として「客観視する力」を挙げたい。 今永は、“第3の目”を持っているように見える。その目は厳しい性格を宿しており、「それでいいのか?」と常に今永自身に問いかけるのだ。悪い結果が続いているときはもちろん、良い結果が出たときも。 先ほど触れた昨年の広島戦の直後、今永はこう話していた。 「自分は8回無失点だったけど、チームは負けている。そこで僕が考えるべきことは『8回無失点だったから大丈夫。俺は何の問題もない』ではなくて。攻撃陣にリズムを持ってこられたか。あそこのムダ球がどうだったか。勝ってしまうと、そこまで目が及ぶことは少なくなってしまう。負けたときにあらためて学ぶべき点がたくさんある」 自身を俯瞰する視点は、今永を変化へと駆り立ててきた。山崎は「冒険家」と表現したが、その原動力はいつだって現状に対する厳しい問いかけだったのだ。 山崎が言う。 「やっぱり探求力は、僕が今まで見てきた選手の中でもずば抜けています。試合の途中でも投げ方を変えるくらいですから。『今日(球の)ラインが出てないんで、ちょっと(腕の出し方を)斜めからにしますわ』とか、ロッカールームで堂々と話すんです。それで実際に、次の回には投げ方が変わっている。そういうのは僕にはない感覚ですね」 過去には、投球時に立つ位置をプレートの一塁側の端から三塁側の端に変えて復調したこともあった。修正点を見定めれば躊躇なく大胆な変化に打って出るのも、今永の特徴だ。 最後に、これまでの対話の中から今永の言葉を一つ紹介したい。
忘れられない「1年目の発言」
今永が駒沢大の4年生だったとき、秋のリーグ戦でチームの成績が振るわず駒沢大は東都の1部2部入れ替え戦に回り、東洋大に敗れて2部降格が決まった。そのときのことを振り返っての発言だ。 「1部に残留していた自分と、2部に落ちた自分、その両方の道があるじゃないですか。結果としては2部に落ちたほうの道を進むことになったわけですけど、それを正解にするのも、不正解にするのも、自分だと思っています」 2016年2月、ルーキーとして初めての春季キャンプをスタートさせてから数日後に言ったセリフだ。当時22歳の頭を占めていたのは、ドラフト1位でプロ入りできた誇らしさではなく、母校に置き土産を残せなかった不甲斐なさ。このときからすでに、今永は第3の目で自身の姿を見下ろし、己の未熟さを燃料として成長の歯車を回し始めていた。 その回転はDeNAでの8年間も、そしてメジャーで過ごすこれからも、きっと止まることはないだろう。少なくともその点だけは、安心して見ていられる。
「ファイヤー!」って叫んでいたり…
山崎は笑顔でこう話していた。 「いたずらでホットクリーム(温感クリーム)を塗られたパンツを知らずに穿いて、(エスコバー選手ら外国人選手に)『ファイヤー! ファイヤー! 』って叫んでいたり……そんな彼のことが僕は大好きでした。ほんとに楽しかった。まあ、いつか戻ってくるでしょうけどね。僕はそう信じてますよ」 もし本当にそうなるのだとしたら、またきっと含蓄のある言葉でさまざまな経験談を語ってくれることだろう。 メジャーでの活躍を見守りながら、そのときを楽しみに待ちたいと思う。
(「メジャーリーグPRESS」日比野恭三 = 文)
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