つきたてのお餅はうまい! もちつき機3モデルで食べ比べ
寒くなると欠かせない日本食と言えばおもち。年末も近くなり、小学校や近所の神社や町会でももちつきが行なわれた。もちつき大会で食べた時の、つきたてのおもちのおいしいこと! あの味を自宅で気軽に、腰を痛めそうにならなくても再現できるのか? ということで編集部でもちつき器とベーカリーを使って、もちを作ってみた。 【画像】左から象印マホービン「力もち BS-ED10」、エムケー精工「もちブレンダー」、パナソニック「ホームベーカリー SD-MDX4」 使用したのはタイプの異なる3機種。もち米5合~1升に対応する象印マホービン「力もち BS-ED10」、同1~2合のエムケー精工「もちブレンダー」、それに同2~3合のパナソニック「ホームベーカリー SD-MDX4」。それぞれどれだけ簡単に、つきたてのもちのおいしさを再現できるのかなどをチェックした。 なお記事内では「もちつき機」と呼称しているが、今回レビューした3機種は、杵のような棒でぺったんぺったんとつくのではなく、基本は洗濯機のかくはん翼(パルセーター)のようなものでもち米を練っていく構造。 ■ 気軽にもちが楽しめるエムケー精工「もちブレンダー RMB-02K」 エムケー精工の「もちブレンダー RMB-02K」は、もち米1~2合に対応したコンパクトなサイズのもちつき機。実売価格は15,000円前後。 本体サイズが190×300×220mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約3.3Kg。コンパクトで設置場所を選ばないうえ、もちつき機とは思えないような洗練されたデザイン。これでおいしいもちがすぐに作れるのなら最高だ。 今回は2合(約280g)のもち米をボウルに入れて水で洗い、ざるで水切りをして15分置く。その後、羽根をセットしたねり容器にもち米を移し、180mlの水を注いだら本体にセットする。「コース」ボタンで「もちつき」に、「選択」ボタンで2合に設定。そのほか「かたさ」ボタンで仕上がりの固さを指定したら、「スタート/一時停止ボタン」を押してスタートする。 20分くらい経過すると、もち米が固まってきたのか本体が「コトコトコト」と細かく震え始めた。さらに最後の10分ほどは「ゴトンゴトン」と言いながらもちになった塊が庫内を転がり、時折は本体のフタを持ち上げて姿をチラッと見せるようになった。「おぉ~、できてきたねぇ」と期待が高まり、場の雰囲気が一気に盛り上がる。 そして約50分後にブザーが鳴って完成。手にミトンをつけて素早く庫内の容器を取り出す。中に入っているのは、少しトロッとしたおもち。容器を傾けて片栗粉を振ったバットの上にもちを移す。流れ出ていくかと思いきや、なかなか容器から離れず、箸などを使ってかき出すようにバットに移した。 1回目に作った時には、団子状に丸くして食べた。バットに移して丸める作業は、もちがびよ~んと伸びるから小分けにするのが難しい。 完成したもちは、ついたもちほどではないけれど、程よく弾力があり醤油と海苔、またはあんこをのせてシンプルに食べてもおいしい。 編集部員の総評コメントとして多かったのは、やはり本体のコンパクトさと作りやすさ。 「本体が小さいから収納しやすそうだし、使う時にもキッチンに設置しやすい。それでいて、2人分であれば十分な量のもちが作れるし、年に何度作るか分からないから、初めて買うにも良さそう」 また編集部の鄭は「もち専用なので操作が分かりやすい。工程の最終盤で少しガタガタと音がしたけれど、毎日作るわけではないし、むしろもちができていくというワクワク感が楽しめました」と高評価。 西村は「1回目で食感が少し固いかなぁという印象だったので、2回目は水を多めにした。そうしたら、やわらかくトロトロのおもちになった」。「もちブレンダー」に限らないが、微妙な水の量の違いでも、仕上がりに変化がある。好みに応じて仕上がりを変えられるのも、自宅でもちを作る楽しみの1つだろう。なお、本機は切りもちをつきたてのようなやわらかさに戻すコースも備えている。 その一方で、容器から取り切れなかったおもちが固まり、洗うのにとまどった。洗う際にはお湯を用意しておくと良いだろう。 ■ パン以外にもモチモチのおもちも作れるパナソニック「ホームベーカリー SD-MDX4」 パナソニックの「ホームベーカリー SD-MDX4」は、名前のとおり基本はパンを作るもの。ただし、もち米3合分のもちも作れる。もちは冬の食べ物という印象が強いが、これなら冬以外にはパンなども作れるので、オールシーズン使える。実売価格は47,000円前後。 準備は基本的に先ほどのエムケー精工「もちブレンダー RMB-02K」と同じで、もち米は洗うだけですぐにザルに上げて水を切り、水に浸す必要はない。パンを作る時とは異なる「めん・もち羽根」をパンケースの底に取り付けたら、説明書どおりの量の水を入れる(3合の場合は260ml)。 フタを閉じて準備ができたら、操作パネルで自動メニューの「36」をセットして「スタート」ボタンを押す。あとは30分待って「ピッピッ」と鳴ったらフタを開けて再スタート。庫内ではコトコトと鳴りながらもちができあがっていった。 実は編集部では、再スタートする際にフタを開けずに続けてしまった。そのためか、できあがりはトロっとした感じだった。ただしバットに移したもちをちぎって丸めていくと、食べるころには程よいモチモチ食感になっていた。 実際に食べてみると、編集部の中林は「もちの伸びもしっかりとあって専用機ではないのに、味や食感はかなり良かった」とのこと。西村も「モチモチと、まさにつきたてのおもち! 予想外に一番おいしかった」と大絶賛。 同機はもちつきの専用機ではなく、メインはパンを作ること。そのため、作ってみるまで、こんなにおいしく仕上がるとは正直なところ誰も予想していなかったようだ。 もちを作る際には、メニュー番号の「36」をセットする。様々な調理に対応しているため、それぞれの調理メニューの番号を覚えておくのは簡単ではない。もちはそれほど頻繁に作らなそうなため、毎回説明書などで調べることになるかもしれないが、そのくらいの手間はかかるものだろう。 そのほか、フタを閉めると中の様子が分からないのも他2機種と違うところだが、動作中の音が非常に静かで、揺れなどもほとんど感じなかったのも特筆すべき点。この静かさであれば、夜中でも気兼ねなく作れる。 今回、本気でもちつき機を自宅に導入しようか迷っていた鄭は、「仕上がりも良く、パンも焼けるから惹かれます」気に入った様子。たしかに、飽きて使わなくなってしまったらどうしよう? との不安もあるベーカリーともちつき機が1台にまとまっていて、しかも本格的なもちがおいしく作れるのは、大きな魅力だ。 ■ 1度に1升分が作れる象印マホービンの「力もち BS-ED10」 「うちはもちが大好きだから2合や3合で足りるわけないだろう!」という家庭には、今回の3機種の中では、象印マホービンの「力もち BS-ED10」の一択となる。実売価格は21,000円前後。 これまで紹介したエムケー精工「もちブレンダー RMB-02K」やパナソニック「ホームベーカリー SD-MDX4」とは異なり、つき始める前に「もち米を蒸す」行程が入る点が大きな違い。そのためか事前にもち米(新米)を水に6~8時間浸しておく必要がある(古米の場合は10~12時間)。また作り始める前に、もち米をざるに上げて20~30分、しっかり水切りする。 いよいよ作り始める際には、本体にパッキンとキャップをセットし、約300~350mlの蒸し水(普通の水で良い)を入れる。底に複数の穴の開いたうす(容器)を本体に装着したら、もちはねを取り付ける。そして水切りしたもち米をうすに入れて、半透明の丸いフタをしたら「自動もちつき」ボタンを押す。ほか2モデルと異なり、ここまではじっくりと説明書を読みながら準備を進めた。だがもちつき専用のため、本体操作が非常にシンプルで迷わずにすむ。あとは45分ほど待つだけだ。 説明書に沿って、8時間浸け置きしたもち米で作ってみた。スタートから約30分ほどは蒸し工程で、その後の10~15分がつき工程となる。この間にすることはなく、立ち上る蒸気を見ては「あぁ~蒸しているなぁ」と思い、コロコロという音を聞きながら「あぁ~つき始めたなぁ」などと思いながら待つだけだ。 つき始めると「ゴトゴト」と全体が小刻みに揺れ始める。フタのスリットからもちが回転しているのを眺めていると、しっかりと米がもちになっていくのが分かっておもしろい。10分後にブザーが鳴るのでフタを開けてつき具合を確認する。ほぼもちになっているのだが、周辺がまだもち化しておらず粒が目立つ状態だったので、延長してついた。その後、自動停止したのでうすを取り出してバットの上にもちを出していった。 かつて実家でもちつき機を使っていたこともある中林の感想は「もちの見た目は、やや粒の形が表面に残っていたが、これはこれで家庭でつくもちというイメージで悪くない。食べてみると粘りがしっかりとあって、少し歯ごたえが強めだった」。そうした仕上がりだったので「水分多めの大根おろしと合わせても、ドロドロになり過ぎなくて相性が良かった」とのこと。 編集部の松川の感想は「おもちに甘さが感じられました。冷めてから食べても、その甘さがありおいしく食べられました」。しっかりと浸け置きして蒸して作ったおもちだからかもしれない。 事前にもち米を6~8時間漬け置きする必要があるなど、3機種の中で完成までに最も手間がかかった。ただし「The 実家のもちつき機」という感じで、懐かしさを感じる人も。また「手間をかけたぶんだけ、ちゃんとおいしかった」と好印象だ。 また、この象印マホービン「力もち」で作ったおもちに限らないが、料理研究家の平野レミさん考案の「明太バターもち」はおいしかった。材料は明太子とバターと醤油。これらをレンジでチンした後にもちを投入してかき混ぜるだけ。 ちなみに、もし浸水時間が短いとどうなるのだろうとの疑問もあり、試しに1~2時間しか浸けていないもち米でもついてみた。結果は……もちのように柔らかくならず、焼きおにぎりのような硬い大きな塊ができあがってしまった。当たり前だが、必ず取扱説明書どおりの時間、浸すようにしよう。 今回、もち米を用意した西村は「やはり事前に浸しておくのは、少し面倒でした。ただ、お正月などに家庭で作るのなら、朝方に浸し始めて、昼過ぎからつき始めるようなスケジュールで問題なさそう」とコメント。 フタが半透明のため、ある程度、中のもちがどうなっているのか確認できるのが楽しい。特に編集部員のほとんどは、自分でもちを作るのは今回が初めてだったし、子供がいればなお盛り上がるだろう。もちつきというイベント感と相まって、もちもおいしく感じる。 ■ 3機種で作り終わっての総評 収納に困らず気軽におもちが作れるエムケー精工「もちブレンダー RMB-02K」と、パンなども作れる料理の汎用性が高いパナソニック「ホームベーカリー SD-MDX4」、それに大人数でも本格的なおもちを楽しめる「象印マホービン 力もち BS-ED10」と、それぞれの違いを把握できた。 おもちの味に関しては、どのモデルも、つきたてを味わえて満足。あとは水の量や、つく時間を微調整することで、自分好みの味に近づけていけそう。 たくさん作ったこともあり、残ったおもちは、それぞれ持ち帰って温め直して食べた。中林の場合は、レンジでいったん温めて柔らかくしてからオーブントースターで焦げ目を入れてから食べたという。残ってしまっても、温め直せばおいしく食べられるのも、おもちの便利なところ。「やっぱりつきたてのおもちはおいしい!」と再確認できる機会となった。
家電 Watch,河原塚 英信