ウクライナ軍、年配兵士への依存高まる 「動機づけは若者より上」だが…
ウクライナ軍では、規模や装備で上回るロシア軍の苛烈な攻撃に対抗するため、年配の兵士に対する依存が高まっている。ある曹長は「自分たちが子供や孫らのために戦地にいると理解しているため、若い兵士よりモチベーションが高い」と述べた。ただ、戦地や塹壕の攻撃や陣地奪還などの任務には、若く回復力の高い兵士が必要だという。ある50歳の兵士は、軍隊に入隊しない人を「批判しない」と述べた上で「召集令状が来た時ではなく今、子供や家族を守る必要がある」と訴えた。 ウクライナ東部ドネツクの前線近くの塹壕で、55歳の兵士、コールサイン「親父」が戦闘訓練を指揮している。 ロシアとの戦争開始から2年以上経過。ウクライナ軍では彼のような年配兵士への依存が高まっている。 だが、彼らには援軍が必要だ。 第33独立機械化旅団の曹長(44)。コールサインは「デピュティー(副)」だ。 「うちの旅団の平均年齢はかなり高く、50歳を超える人も多いが、モチベーションは若い兵士よりはるかに高い。 自分たちがなぜ戦場にいるのか、子供や孫らのためだと理解している。自分たち以外、やる人はいないのだと分かっている」 戦争開始直後の数カ月と比べ志願兵の数が減っているため、ウクライナ軍は兵士集めに苦戦。 旅団の40歳の指揮官コールサイン「カナダ」。 「年配の兵士でも陣地防衛の訓練は受けられる。 ただ、戦地や塹壕の攻撃や陣地奪還などの任務には、回復力の高い、若い兵士が必要だ」 昨年、ウクライナ軍の反転攻勢が失敗すると、ロシア軍は主導権を握り、東部の主要都市や道路へ徐々に侵攻している。ウクライナ当局はロシア軍の完全撤退と、国際的に認められた領土の回復を望んでいるが、戦争が長引き資源が枯渇する中、この課題は困難になると多くの専門家が指摘している。 ウクライナ軍は、より多くの志願兵獲得を目指し、政府と軍の広報活動に後押しされ、志願兵にどこでどのような仕事につくか選択肢を与えている。 コールサイン「ベル」(50)は国民に訴えた。 「(軍隊に入隊しない人を)私は批判しない。 我々と彼ら以外にやれる人はいないと理解すべきだ。これは重要なことだ。 誰もがいつかは子供や家族を持つ。召集令状が来た時ではなく今、子供や家族を守る必要がある」