住宅ローン金利の上昇でリスク高まるタワマンパワーカップルの代わりに登場した「パワーファミリー」の正体
■都心5区のマンションは10年で2倍以上に 国土交通省が毎年住宅を取得した人たちを対象に実施している「住宅市場動向調査」の最新版、令和5年度版によると、初めて新築マンションを取得した一次取得者の自己資金割合の平均は41.0%に対して、買い替えなどの二次取得者の平均は72.8%となっている。 買い替えでは7割以上の自己資金を用意しているので、ゆとりを持って資金計画を組むことができ、返済にも余裕があるはずだ。 その背景には、住宅市場における中古マンション価格の高騰が挙げられる。特に、首都圏、なかでも東京都、わけても東京23区、都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の高騰が著しい。 マンション情報の「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドの調査によると、図表3にあるように、都心5区では、10年前に比べての騰落率が107.7%であり、10年間で2倍以上に高騰していることになる。5年前に比べても60.0%だから、高額で売却してステップアップすることが可能になる。
■高額で売却してゆとりの買い替えへ そこで、10年前に買ったマンション価格が、いま2倍に上がっているエリアでの買い替えを行うケースをシミュレーションすると、次のようになる。 10年前に都心5区の5000万円の中古マンションを、自己資金1000万円、住宅ローン4000万円で購入、全期間固定金利型の1.66%の金利でローンを組むと、図表4にあるように毎月返済額は12万5632円で、10年後の現在の残高は約3083万円になっている。 そのマンションを購入価格の2倍の1億円で売却するとすれば、ローン残高の約3083万円を一括返済して、売却にかかる諸費用などを考慮しても、手元に6500万円ほど残るので、手持ち資金500万円を加えることができれば7000万円の自己資金になる。 新たに8000万円のローンを組んで、1億5000万円のマンションを購入する場合、毎月返済額は変動金利型で約20万円になる。今後は金利が上がりそうなので、1.79%の全期間固定金利型にすれば、約26万円だ。 毎月返済額は大幅に増えることになるが、優良企業に勤務していれば、10年前に比べると地位も向上、年収も増えているはずだから、さほどの負担過剰にはならないだろう。