『おむすび』でギャルと仮の姿の二面性を表現 田村芽実、多彩なキャリアで得た演技の幅
アイドル&ミュージカル俳優として多彩な経歴を持つ田村芽実
四六時中、ギャルでいる他のハギャレンメンバーとは違って、理沙は二面性を出していかなければならない。田村が語るように理沙が「ぶっ飛んだ感じの女の子」へと着地したのは、普通の女の子とのギャップをいかに大きく見せるかという問題もあったのだろう。田村が演じるリサポンは快活でとにかく明るいキャラクターだが、私たち視聴者は学校での理沙を知っているからこそ、リサポンの輪郭がはっきりと浮き上がってくる。ひとつの作品で“動“と“静”で見せた田村の演技はお見事だ。 というのも、田村はかなり豊富なキャリアを歩んできた。ミュージカル俳優への憧れから、子役として『あしながおじさん』『サウンド オブ ミュージック』などの作品に出演していた田村は、2009年にミュージカル『しゅごキャラ!』でスマイレージのメンバーと共演したことを機にアイドルに憧れを抱き、アンジュルム(当時はスマイレージ)のメンバーとして2011年から2016年まで活動。卒業後は本田美奈子の生涯を描いた舞台『minako-太陽になった歌姫-』で主演を務めるなど、ミュージカル俳優としての活動が増え、ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2をはじめめ、『MEAN GIRLS』、フレンチロックミュージカル『赤と黒』といった作品に出演し、順調にキャリアを積んでいる。 ドラマや映画などの出演は、舞台やミュージカルに比べると控えめだったが、2023年には『らんまん』(NHK総合)で朝ドラ初出演を果たす。田村が演じたのは、植物学雑誌発刊のために石版印刷技術を習得しようとした万太郎(神木隆之介)が働くことになった大畑印刷所の一員・大畑佳代。チャキチャキの江戸っ子としての振る舞いは大きな反響を呼んだ。 今作で2度目となる朝ドラ出演。ギャルをいきいきと演じる田村の姿は、若手と思えないほど堂々として見える。田村が演じるリサポンは今後、ハギャレンと結をつなぐ架け橋となっていくことだろう。彼女のギャップのある演技をじっくりと味わいたい。
川崎龍也