銀行「最後の砦」をも食う、異業種“黒船”の潜在力 「いいとこ取り」や「ポイント経済圏」武器に攻勢
ついに金利が復活したことで、銀行に好機が巡ってきた。だが、喜んでばかりもいられない。要因の一つが、銀行サービスの中でもリテール(個人向け)の分野に異業種から殴り込む「黒船」の存在だ。週刊東洋経済「銀行 大波乱」特集を担当した田島靖久記者と、経済コラムニストでYouTuberの高井宏章氏の対談をお送りする。 【動画を見る】金利上昇でも暗雲、メガバンクの牙城に「黒船」襲来でリテール戦争勃発/三井住友「Olive」なぜ人気?/収益力は二極化!資金利益増加率試算ランキング ※記事の内容は東洋経済の解説動画「【金利上昇でも暗雲】メガバンクの牙城に「黒船」襲来でリテール戦争勃発/三井住友「Olive」なぜ人気? /収益力は二極化」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
■「いいとこ取り」のJR東日本 高井宏章(以下、高井):特集内で紹介されている、銀行の牙城を脅かす「4つの黒船」の性格から伺えればと思います。まずはJR東日本。彼らは自前で銀行も持っているんですね。ということは、(既存のメガバンクにとっては)ガチンコの競争相手になります。 田島:そうですね。しかも、JREポイントが電車に乗るだけで貯まって、もちろんキオスクなどでの買い物でも貯まって、JRユーザーとしては非常にお得なサービスなので、強敵になると思います。
高井:人口動態的にも、首都圏は流入超過が続いている状態です。全国一律、フルラインでのサービス提供を基本としているメガバンクからすると、「ちょっとずるいな……」と思っているんじゃないでしょうか。 田島:そうですね、確かに「いいとこ取り」な部分はありますよね。 高井:次に楽天です。彼らもすでに金融でけっこうな存在感があります。銀行も持っていますし、証券もNISAが追い風になって口座数が増えています。しかもポイントといえば楽天。これは相当手ごわい?
田島:そうですね。やはり最大の強みは「経済圏」です。楽天のサービスを使えばどんどんポイントが貯まっていく。囲い込み戦略という点では秀でていると感じます。 高井:そして次がNTTドコモ。通信会社というのは、恐ろしいほどキャッシュ生成能力があるんですよね。 田島:今やみんなスマホを持っている時代なので。中には複数台持っている人もいて、そういう意味では非常に重要なインフラとして顧客を囲い込んでいるプレーヤーといえます。