結婚も出産も増えない「日本という小さな国」が生き残る道などあるのか
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。 〈40年後には9000万人を下回り、100年も経たぬうちに5000万人ほどに減る……200年後におよそ1380万人、300年後には約450万人にまで減る……西暦2900年の日本列島に住む人はわずか6000人、西暦3000年にはなんと2000人にまで減る〉 ――人口減少日本に起きることを縦横に論じた『未来の年表』が発売されたのは、2017年のこと。 しかし、未来は加速しながらやってきている。 今年、国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。 今後、日本の人口減少が続くことは誰の目にも明らかで、「縮小」を前提に国家や企業、生活をどうしていくかが問われている。 〈マーケットの縮小とは単に総人口が減るだけの話ではない。若い頃のようには消費しなくなる高齢消費者の割合が年々大きくなっているのである。今後の日本は、実人数が減る以上に消費量が落ち込む「ダブルの縮小」に見舞われるということだ。〉(『未来の年表 業界大変化』より)
「戦略的に縮む」しかない
『未来の年表 業界大変化』では「戦略的に縮む」方法が丁寧に解説される。 〈各企業・行政機関が事業をスリム化し得意分野に資本や人材などを集中投入することである。消費者数も勤労世代も減っていくのだから、すべてを人口が増えていた時代のようにやろうとすることには無理がある。とりわけ各企業は得意分野に磨きをかけ、これまで以上に競争力をつけていかなければならない。そうすることで、自ずと海外でも道が開ける。 もう1つは、従業員・職員個々のスキルアップを図り、労働生産性を向上させることだ。人手が減っていく分は、一人一人が“稼ぐ力”を強化し、労働時間を充実させることでカバーするしかない。同時に働き手の貴重な時間を奪う“無駄な会議”などを無くす必要もある。〉(『未来の年表 業界大変化』より) 日本で暮らし働くすべての人が人口減少の影響を避けられない。 そうした状況下で、どのような未来を描けばいいのか。 『未来の年表 業界大変化』で示される10のステップは大いに参考になるはずだ。 「未来のトリセツ」(10のステップ) ステップ1 量的拡大モデルと決別する ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる ステップ6 全従業員のスキルアップを図る ステップ7 年功序列の人事制度をやめる ステップ8 若者を分散させないようにする ステップ9 「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
現代新書編集部