ミスター慶応出身&フェンシング元日本代表の25歳俳優が強烈。“モラハラ暴力夫”に恐怖
毎週土曜日よる11時30分から放送されている『顔に泥を塗る』(テレビ朝日)で、モラハラ彼氏を演じる西垣匠が恐ろしい。 草川拓弥との共演BLドラマ『みなと商事コインランドリー』(テレビ東京、2023年)ではあんなにピュアな役を演じていたのに。どこからか恐怖要素を採取してきてモラハラ彼氏役に注入したのだろう? イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、西垣匠の経歴を確認しながら、強靭な若手俳優の全体像を解説する。
『みなと商事コインランドリー』の必然的な強烈さ
西垣匠が広く認知された出演作品は、絶対的に『みなと商事コインランドリー』である。「超特急」の草川拓弥にとって初主演作となった同作は、BLドラマ史上もっとも愛され、熱狂的なファンを得たひとつだが、その最大要因は西垣のほうにあったと思う。 祖父から引き継いだコインランドリーを舞台に店主と客の高校生が空前のピュアラブを固く結ぶこの作品。相手役の高校生・香月慎太郎として西垣が配役される必然みたいなものがあった。 『みなと商事コインランドリー2』(2023年)の放送が終了しても慎太郎はきっと今日もあのコインランドリーで湊晃(草川拓弥)とわちゃわちゃしてるはず。 視聴者にとっての最終話あとのロスとか単純なことではない。作品外で香月慎太郎というキャラクターを生身の存在として立ち上がらせてしまった。それが西垣匠という俳優の強烈さなのだ。
ビジョンとキャリア形成に自覚的
そこまで強烈なイメージをひとつの作品に植え付けてしてしまうことは、次から次へ出演作を重ねる俳優にとってはマイナスに作用するかもしれない。その俳優について語るとき、あの人といえばあの作品だろうという具合に、キャリアがその時点に固定されてしまうからだ。 ところが、西垣はなぜかそうはならない。『みなと商事コインランドリー』香月慎太郎役を永久的に代表作としながら、彼はうまく次回作に軸足を移す才覚が鋭い人でもある。それをしっかり自分の名刺がわりの作品に仕上げてしまう。 一度高校生役のイメージがつくとなかなか学生役以外の配役は回ってこない。なら潔く翻り、大成功した高校生役には全然未練もないといった感じで、率先して成人男性役に挑戦する。俳優としてのビジョンとキャリア形成がここまで自覚的で、なおかつ成功する若手はちょっと他にいないんじゃないか。