<ラグビー>リーチ マイケルの主将復帰でジャパンは変わるか?
フィジー系ニュージーランド人だった15歳の頃、来日した。 札幌山の手高校時代は雪中のトレーニングを経験し、東海大に入った頃には日本語もペラペラだった。この国の多くのファンから支持されるのは、当然のことだった。 ワールドカップ初出場を決めた2011年に東芝入りすると、その年のトップリーグ(日本最高峰リーグ)の最優秀新人賞を獲得。「トップリーグの外国人枠を変えて欲しい。日本の高校と大学を出た選手は日本人として出てもいいのでは」と訴えながらも、2013年には日本国籍を取得した。 その特異な人生経験を、これまでの主将業でも活かしてきた。身長189センチ、体重105キロのタフなフランカーとしてだけでなく、仲間の意を汲み海外レフリーと深い話ができるリーダーとしても機能。かくして、チームの勝利を手繰り寄せる。 その好例が、イングランド大会の南アフリカ代表戦だ。過去優勝2回の強豪を34―32で制したこの日は、相手が防御の際に反則を連発。歓喜のノーサイドから数日後、リーチはその背景をこう語った。 「南アフリカ代表戦の時は、レフリーとのコミュニケーションが抜群でした。がーっと言うのではなく、流れの中で『どうですか』と聞いてみて、(反則の判定を)こっちからアピールしないで、レフリーに任す…」 情報整理術にも長け、いつだってすべきことをクリアに表現する。その資質はチームミーティングや試合中の円陣で活かされそうだが、取材時の発言からもそのスキルがにじむ。 例えば「今後の強化指針は?」といったやや大雑把な質問を受けても、「いままでやってきたことの質をプラス5パーセント、上げないといけない。ジェミーや他の人たちに頼るんじゃなく、1人ひとりが責任を持って準備しないといけない」と即答する。 ジョセフ政権は、ジョーンズ政権以上に選手の自治能力が問われていそうだ。2017年6月の段階までは、個々の身体作りも「選手次第になっている」とある主力が証言する。 ジョセフHCは今回も、ツアー中の練習計画について聞かれるとジョン・プラムツリー新ディフェンスコーチへの期待をまず口にした。スタッフや選手の力を引き出すのをモットーとしているようで、6月まで主将だった堀江も選手としてのパフォーマンスに専念したがっていた。ここで自主性の塊のようなリーチが先頭に立つのは、自然な流れだった。 9月中旬から断続的に開かれた候補合宿でも、リーチは密度の濃い集団作りに着手した。特に10月15日から3日間あったキャンプでは、選手を数名のグループに分けながらのミーティングを実施。他の選手によれば、そのなかから「外国人同士、日本人同士で固まらないようにすべきた」などの発言を引き出したようだ。 「いまはゲームの理解度を高めて、どんなチームになりたいか(という考え)を頑張って作っている。(19日に)チームが発表されたら、ワールドカップで力を発揮するためのプレーの質、練習(の仕方)を教えないといけない。外から見ても、リスペクトできるようなチームにしたい」